尿道下裂の臨床的, 内分泌学的検討
1978年から1982年迄の5年間, 当科で経験した61例の尿道下裂症例について臨床統計的観察を行いあわせて内分泌学的検討を加えた. 手術時の平均年齢は4.4歳であった. 程度別分類は glandular 22例 (36.1%), penile 18例 (29.5%), penoscrotal 10例 (16.4%), perineal 3例 (4.9%), chordee without hypospodias 8例 (13.1%) であった. 未熟児および低出生体重児 (2,500gr以下) として出生した症例が28.1%を占めたが, 手術時では健常児と有意差を認めなかった. 合併異常は6...
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          | Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 76; no. 5; pp. 716 - 722 | 
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| Main Authors | , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            社団法人 日本泌尿器科学会
    
        1985
     | 
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| ISSN | 0021-5287 1884-7110  | 
| DOI | 10.5980/jpnjurol1928.76.5_716 | 
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| Summary: | 1978年から1982年迄の5年間, 当科で経験した61例の尿道下裂症例について臨床統計的観察を行いあわせて内分泌学的検討を加えた. 手術時の平均年齢は4.4歳であった. 程度別分類は glandular 22例 (36.1%), penile 18例 (29.5%), penoscrotal 10例 (16.4%), perineal 3例 (4.9%), chordee without hypospodias 8例 (13.1%) であった. 未熟児および低出生体重児 (2,500gr以下) として出生した症例が28.1%を占めたが, 手術時では健常児と有意差を認めなかった. 合併異常は61例中36例 (59%) にみられ, そのうち停留睾丸をはじめとした陰嚢内容の異常が47.2%で最も多くみられた. 次いて外陰異常が33.3%を占めた. 又, 妊娠中プロゲステロン投与をうけたものが59例中18例 (30.5%) にみられた. 31例の下裂患児にLH-RH試験, hCG試験を行い, 健常児に比して, ゴナドトロピンは, LH-RHに対し過剰反応を, hCG刺激に対しテストステロンは低反応を示した. 程度が高いもの程この傾向は顕著であった. 又, プロゲステロン投与の既往のある群は健常群に比して他の下裂症例と同様, ゴナドトロピンはLH-RHに対して有意に過剰反応を呈し, hCG刺激に対しテストステロンは低反応の傾向を示したが他の下裂群との間にはいづれの反応においても有意差をみなかった. 今回の検討において, 思春期前期の尿道下裂症例において下垂体―睾丸機能の異常が認められた. 又, 疫学的に妊娠3カ月以内のプロゲステロン投与は避けるべきであると考えられた. | 
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| ISSN: | 0021-5287 1884-7110  | 
| DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.76.5_716 |