当院におけるセラピストとケアマネージャーの連携

【目的】 以前、当院では退院時のリハビリ経過報告書による情報提供が連携の主となっており、入院中のリハビリ見学や家屋調査の同行といったセラピスト(以下Th)とケアマネージャー(以下CM)が直接的な関わりをする場面が不足していた。そのため、当院では連携に関するシステムやスタッフの教育強化を図ってきた。本研究では、当院のThとCMの連携について、当院の先行研究(2009年実施)との比較から検証を行った。尚、本研究はヘルシンキ宣言に記載された倫理規約に則して行った。 【方法】 当院THとCMに対して、地域連携についてのアンケートを実施し、先行研究との比較、検証を行う。対象は当院在職中のTh及び、当院近...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 31; p. 261
Main Authors 岩根, 直矢, 鈴木, 寛子, 畔上, 知明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2012
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.31.0_261

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Abstract 【目的】 以前、当院では退院時のリハビリ経過報告書による情報提供が連携の主となっており、入院中のリハビリ見学や家屋調査の同行といったセラピスト(以下Th)とケアマネージャー(以下CM)が直接的な関わりをする場面が不足していた。そのため、当院では連携に関するシステムやスタッフの教育強化を図ってきた。本研究では、当院のThとCMの連携について、当院の先行研究(2009年実施)との比較から検証を行った。尚、本研究はヘルシンキ宣言に記載された倫理規約に則して行った。 【方法】 当院THとCMに対して、地域連携についてのアンケートを実施し、先行研究との比較、検証を行う。対象は当院在職中のTh及び、当院近隣の居宅介護支援事務所事業所に在籍するCM。比較、検証するアンケートは2009年8月に当院在職のThを対象とした。 【結果】 アンケート回収率は当院Th対象80.2%、CM対象78.9%、2009年時のアンケートは回収率75.0%。当院Th対象のアンケートに関して「リハビリ経過報告書以外でCMと連絡をとる機会がある」との回答の割合が2009年時と比較して83.3%から90.8%に上昇。同様の回答において、経験年数3年未満のThでは75%から85.7%へ上昇を認めた。また、「CMと連携をとる機会は現状で十分」との回答は、2009年時と比較して23.3%から44.3%へ、経験年数3年未満のThでは22.2%から42.8%へ上昇を認めた。一方で、症例ごとにCMと連絡を取る回数は、2009年時より減少傾向。また連携の手段に関して、直接会って連携を行うとの割合は64.0%から64.1%へと大きな差を認めなかった。CM対象のアンケートでは、「連携の機会は十分」との回答が、73.3%。現状で必要な情報交換は行えており、連携の頻度は現状で十分との回答が多数を占めていた。 【考察】 当院において、ThがCMと直接的な関わりをする機会は、特に経験年数3年以下のThにおいて増加傾向であり、経験年数を問わず、症例ごとのCMとの連携定着が示唆された。連携の内容に関しては、症例ごとに連携を取る回数は減少傾向、直接会って連携を行う割合は、大きな変化は見られなかった。しかし、CMからは連携における必要な情報交換は行えているとの回答を多数頂いており、これらの結果から、情報交換の量的な改善は認めないものの、質的側面における向上が示唆された。 【まとめ】 本研究より、当院の地域連携における質的変化が示唆されたが、CMからのアンケートにおいて家屋環境の調整や退院後のリハビリ継続について、より具体的な情報提供を求めるご意見をいくつか頂いた。上記問題点の改善に向けて、当院の地域連携システムや教育体制について、検証し改善していく必要があると考える。
AbstractList 【目的】以前、当院では退院時のリハビリ経過報告書による情報提供が連携の主となっており、入院中のリハビリ見学や家屋調査の同行といったセラピスト(以下Th)とケアマネージャー(以下CM)が直接的な関わりをする場面が不足していた。そのため、当院では連携に関するシステムやスタッフの教育強化を図ってきた。本研究では、当院のThとCMの連携について、当院の先行研究(2009年実施)との比較から検証を行った。尚、本研究はヘルシンキ宣言に記載された倫理規約に則して行った。【方法】当院THとCMに対して、地域連携についてのアンケートを実施し、先行研究との比較、検証を行う。対象は当院在職中のTh及び、当院近隣の居宅介護支援事務所事業所に在籍するCM。比較、検証するアンケートは2009年8月に当院在職のThを対象とした。【結果】アンケート回収率は当院Th対象80.2%、CM対象78.9%、2009年時のアンケートは回収率75.0%。当院Th対象のアンケートに関して「リハビリ経過報告書以外でCMと連絡をとる機会がある」との回答の割合が2009年時と比較して83.3%から90.8%に上昇。同様の回答において、経験年数3年未満のThでは75%から85.7%へ上昇を認めた。また、「CMと連携をとる機会は現状で十分」との回答は、2009年時と比較して23.3%から44.3%へ、経験年数3年未満のThでは22.2%から42.8%へ上昇を認めた。一方で、症例ごとにCMと連絡を取る回数は、2009年時より減少傾向。また連携の手段に関して、直接会って連携を行うとの割合は64.0%から64.1%へと大きな差を認めなかった。CM対象のアンケートでは、「連携の機会は十分」との回答が、73.3%。現状で必要な情報交換は行えており、連携の頻度は現状で十分との回答が多数を占めていた。【考察】当院において、ThがCMと直接的な関わりをする機会は、特に経験年数3年以下のThにおいて増加傾向であり、経験年数を問わず、症例ごとのCMとの連携定着が示唆された。連携の内容に関しては、症例ごとに連携を取る回数は減少傾向、直接会って連携を行う割合は、大きな変化は見られなかった。しかし、CMからは連携における必要な情報交換は行えているとの回答を多数頂いており、これらの結果から、情報交換の量的な改善は認めないものの、質的側面における向上が示唆された。【まとめ】本研究より、当院の地域連携における質的変化が示唆されたが、CMからのアンケートにおいて家屋環境の調整や退院後のリハビリ継続について、より具体的な情報提供を求めるご意見をいくつか頂いた。上記問題点の改善に向けて、当院の地域連携システムや教育体制について、検証し改善していく必要があると考える。
Author 岩根, 直矢
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ケアマネージャー
地域連携
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