2011 年東北地方太平洋沖地震津波と土地利用

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により引き起こされた巨大津波は、1,000km以上におよぶ東日本の太平洋沿岸部に甚大な被害をもたらした。この津波と土地利用との関わりを、津波詳細地図、土地利用図、地域別土地利用種別浸水面積等の統計、現地調査などにより、安全安心で持続可能な土地利用を追求する立場から検討した。その結果、安全安心への認識の不十分さ、地形や土地利用・土地被覆、事物の分布や位置関係などの地理的諸条件に対する無関心と無理解やそれらを改善するための教育の不十分さ、社会経済的な条件を重視するあまり災害危険性を軽視した土地利用の選定などがあいまって甚大な被害が発生したことが明ら...

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Published in地球環境 Vol. 18; no. 1; pp. 35 - 44
Main Author 氷見山 幸夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国際環境研究協会 2013
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ISSN1342-226X
2758-3783
DOI10.57466/chikyukankyo.18.1_35

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Summary:2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により引き起こされた巨大津波は、1,000km以上におよぶ東日本の太平洋沿岸部に甚大な被害をもたらした。この津波と土地利用との関わりを、津波詳細地図、土地利用図、地域別土地利用種別浸水面積等の統計、現地調査などにより、安全安心で持続可能な土地利用を追求する立場から検討した。その結果、安全安心への認識の不十分さ、地形や土地利用・土地被覆、事物の分布や位置関係などの地理的諸条件に対する無関心と無理解やそれらを改善するための教育の不十分さ、社会経済的な条件を重視するあまり災害危険性を軽視した土地利用の選定などがあいまって甚大な被害が発生したことが明らかになった。それは、3.11級の巨大地震と津波により大きな被害が発生することは避けられなかったにしても、適切な備えがあれば被害は相当程度軽減できたということを意味する。
ISSN:1342-226X
2758-3783
DOI:10.57466/chikyukankyo.18.1_35