健常男性における立位前屈からの復位動作における腰椎骨盤リズム評価法の提案と前屈動作との比較検討
【はじめに】 立位前屈動作には腰椎骨盤リズムがあり、初期相では股関節屈曲・骨盤後方移動が生じ、腰椎は前彎を減じ始め、後期相では股関節屈曲によって運動が行われるとされている。以前我々は、立位から指先が膝蓋骨上端に達するまでを前屈膝上相(AK)、そこから最大前屈までを前屈膝下相(BK)とする評価法を提案した。今回立位前屈からの復位動作を、最大前屈から指先が膝蓋骨上端に達するまでを復位膝下相(BKR)、そこから立位までを復位膝上相(AKR)と分け、本評価法の復位動作における適応と立位前屈との比較を行った。 【方法】 対象は健常男性10例(平均年齢24.2±3.8歳、身長171.4±5.3cm、体重6...
Saved in:
Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 31; p. 253 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
2012
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0916-9946 2187-123X |
DOI | 10.14901/ptkanbloc.31.0_253 |
Cover
Summary: | 【はじめに】 立位前屈動作には腰椎骨盤リズムがあり、初期相では股関節屈曲・骨盤後方移動が生じ、腰椎は前彎を減じ始め、後期相では股関節屈曲によって運動が行われるとされている。以前我々は、立位から指先が膝蓋骨上端に達するまでを前屈膝上相(AK)、そこから最大前屈までを前屈膝下相(BK)とする評価法を提案した。今回立位前屈からの復位動作を、最大前屈から指先が膝蓋骨上端に達するまでを復位膝下相(BKR)、そこから立位までを復位膝上相(AKR)と分け、本評価法の復位動作における適応と立位前屈との比較を行った。 【方法】 対象は健常男性10例(平均年齢24.2±3.8歳、身長171.4±5.3cm、体重64.4±8.2kg)。ヘルシンキ宣言に則り全員に研究の説明を行い、同意を得た。腰椎彎曲可動域(LC)測定は自在曲線定規を脊柱に添わせ、Th12-S1間距離(L)と彎曲最深部の深さ(H)を計測。「4×(arc tan2H/L)」より角度を算出し、各相の角度変化を算出。骨盤傾斜可動域(PT)の測定は、側面よりデジタルカメラで撮影し、水平線に対するASISとPSISを結んだ線の傾斜角を画像上測定し、各相の角度変化を算出。骨盤の前後方移動値(PM)はASIS-PSISを結んだ中点の水平移動量を測定し、各全水平移動量を100とし、各相における割合(%)を算出。各画像上の測定はImage Jを使用した。AKRとBKR、およびAKとAKR、BKとBKRにおけるLC、PT、PM有意差の判定にはMann-Whitney検定(p<0.05)で判定した。 【結果】 各平均±SDは、(BKR)LCが20.2±17.2度、PTが29.2±10.4度、PMが17.3±25.9%。(AKR)LCが51.3±10.3度、PTが13.4±6.7度、PMが82.7±25.9%。(AK)LCが49.9±8.8度、PTが13.0±8.2度、PMが70.8±13.7%。(BK)LCが21.6±15.2度、PTが31.8±13.5度、PMが29.2±13.7%であった。LCにおけるBKRとAKR(p<0.01)、PTにおけるBKRとAKR(p<0.01)、PMにおけるBKRとAKR(p<0.01)、およびAKとAKR(p<0.05)に有意差が認められた。 【考察】 腰椎運動、骨盤傾斜運動、骨盤水平移動でBKRとAKRの有意差が認められ、指先が膝蓋骨上端に達するところが、復位動作においても、相を分ける臨床上のポイントとして有用であると示唆された。前屈動作との比較では骨盤水平移動に関して、復位動作の方がより膝上相に依存した方略をとることが示唆された。復位動作は動作開始時より重力負荷が大きい状態で体幹・股関節伸展筋活動が要求されるため、骨盤水平移動を抑え、体幹・股関節伸展を優位に行っていると考えた。そのため復位動作初期では骨盤の水平移動が生じづらくなっていると考えた。 【まとめ】 今回の結果を考慮しつつ、前屈・復位動作観察をすることが有用と考える。 |
---|---|
Bibliography: | 253 |
ISSN: | 0916-9946 2187-123X |
DOI: | 10.14901/ptkanbloc.31.0_253 |