免疫抑制剤ミゾリビンの慢性関節リウマチに対する臨床的検討 第二相臨床試験

ミゾリビン(MZR:商品名ブレディニン, 開発コードHE-69)は東洋醸造(株)において, 八丈島の土壌由来の糸のう菌Eupenicillium brefeldianumの培養炉液より単離されたイミダゾールヌクレオシドである1)(図1). 当初, 抗真菌活性を有する抗生物質として発見されたが, その後リンパ球の増殖を選択的に阻害することにより液性免疫および細胞性免疫応答の抑制作用を有することが明らかとなった1~3). 腎移植における臨床試験は昭和53年に開始され, 本剤はすぐれた拒絶反応の抑制効果をもち, さらに白血球減少, 肝障害などの副作用がきわめて軽微であることが確認された4). したが...

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Published in炎症 Vol. 8; no. 3; pp. 263 - 275
Main Authors 蕨, 治言, 菅原, 幸子, 塩川, 優一, 廣瀬, 俊一, 七川, 歓次, 水島, 裕, 本間, 光夫, 近藤, 啓文, 宮本, 昭正, 延永, 正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本炎症・再生医学会 01.05.1988
日本炎症学会
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ISSN0389-4290
1884-4006
DOI10.2492/jsir1981.8.263

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Summary:ミゾリビン(MZR:商品名ブレディニン, 開発コードHE-69)は東洋醸造(株)において, 八丈島の土壌由来の糸のう菌Eupenicillium brefeldianumの培養炉液より単離されたイミダゾールヌクレオシドである1)(図1). 当初, 抗真菌活性を有する抗生物質として発見されたが, その後リンパ球の増殖を選択的に阻害することにより液性免疫および細胞性免疫応答の抑制作用を有することが明らかとなった1~3). 腎移植における臨床試験は昭和53年に開始され, 本剤はすぐれた拒絶反応の抑制効果をもち, さらに白血球減少, 肝障害などの副作用がきわめて軽微であることが確認された4). したがって, 昭和59年2月に免疫抑制剤として製造承認され, 本邦において, 腎移植の領域で広く使用されている. 本剤は動物実験において, ラットのアジュバント関節炎に対する改善作用5)やNew Zealand Black/White F1マウスの延命作用を有すること6, 7)が認められているが, 急性炎症に対し抑制作用は示さず, また鎮痛作用も認められず, 抗炎症剤の範疇には入らない. 一方, 慢性関節リウマチ(RA)は慢性の進行性炎症疾患であるが, その病態基盤に免疫異常が存在するとされ, 従来の抗炎症剤に加えて, 免疫調整剤, あるいは広義のDMARDs(disease modifying antirheumatic drugs)が治療薬として注目をあびている.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.8.263