アクティブ・ラーニング
アクティブ・ラーニングとは学生による主体的な学びを引き出すための教育・学修の技法の総称であり,単純な自習や放置することを指す用語ではない.従来,日本で重用されてきたような詰め込み型教育では頭打ちとなった汎用性の高い能力や問題解決能力を育成するために,米国をはじめ世界中で採用されている.ある課題に対して行動するだけでなく,常に考えながら解答を模索・探求することが学生には求められ,そうした活動を教員や優秀な学生がファシリテートすることでアクティブ・ラーニングは推進する.文科省は大学を学生が「生涯学び続け,主体的に考える力を育成する」高等教育機関として再定義しており,「学士力」の高い卒業生,すなわち...
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| Published in | 昭和学士会雑誌 Vol. 84; no. 3; pp. 206 - 217 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
昭和大学学士会
2024
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 2187-719X 2188-529X |
| DOI | 10.14930/jshowaunivsoc.84.206 |
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| Summary: | アクティブ・ラーニングとは学生による主体的な学びを引き出すための教育・学修の技法の総称であり,単純な自習や放置することを指す用語ではない.従来,日本で重用されてきたような詰め込み型教育では頭打ちとなった汎用性の高い能力や問題解決能力を育成するために,米国をはじめ世界中で採用されている.ある課題に対して行動するだけでなく,常に考えながら解答を模索・探求することが学生には求められ,そうした活動を教員や優秀な学生がファシリテートすることでアクティブ・ラーニングは推進する.文科省は大学を学生が「生涯学び続け,主体的に考える力を育成する」高等教育機関として再定義しており,「学士力」の高い卒業生,すなわち優れた国際競争力を有した人材を輩出することを期待している.そのためには目標設定と学修の遂行を維持するモチベーション,知的探求心を生み出すカリキュラムを教員が創出する必要がある.将来,医師になる学生が大半である医学部では,知識の蓄積だけでなくアクティブ・ラーニングを通じて獲得することが可能な総合的な能力に加えて,Medical Artの素養,プロフェッショナリズムの涵養,そして何より患者に寄り添い誠心誠意尽くす精神として「至誠一貫」が求められている.それらを楽しみながら学ぶ機会を提供できるように著者らは新カリキュラムを設計・構築した.アクティブ・ラーニングを主体とした医学教育の推進で最も重要な点は「授業外学修」の時間を増加させ,学生のラーニングエンゲージメントを高めることである.優れた教育機関では建設的なディスカッションや創造性の高いグループワークを教育コンセプトの柱としており,もはや物理的な教室という概念すら無くなりつつある.反転授業やゲーミフィケーションなど煩雑ながらも高い教育効果が期待できる最新の教育手法を積極的に採用し,併せてICT/IoTの利活用により教員の負担を軽減することで,昭和大学医学部では他の医学部では達成できていない先進的かつ持続可能な新カリキュラムを遂行することが可能となった.学生のモチベーションを高める種々の仕組みを開発し,デブリーフィングやピア・ティーチングを積極的に行うことで学生が学んだ内容を深く定着させることが可能となった. |
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| ISSN: | 2187-719X 2188-529X |
| DOI: | 10.14930/jshowaunivsoc.84.206 |