激しい血管内溶血を伴ったClostridium perfringensによる敗血症の1症例

はじめに<BR><I>Clostridium perfringens</I>(以下<I>C. perfringens</I>>と記す)はヒトや動物の大腸内常在菌であり、下水、河川、海、耕地などの土壌に広く分布する。ヒトの感染症としては、食中毒の他に、ガス壊疽、化膿性感染症、敗血症が知られている。今回、当院において<I>C. perfringens</I>による肝膿瘍の破裂により、激しい血管内溶血を伴う敗血症の1症例を経験したので報告する。症例<BR>主訴:腹痛 <BR>既往歴:高血圧、糖尿病<BR>原病歴:平成19年3月17日に背部痛で他院受診、内臓に異常診断された。平成19年3月23日20時...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 323
Main Authors 高橋, 喜久代, 生川, 睦子, 犬塚, 和久, 巽, 則雄, 堀江, 邦夫, 石川, 聡, 亀井, 純子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2007
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.56.0.323.0

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Summary:はじめに<BR><I>Clostridium perfringens</I>(以下<I>C. perfringens</I>>と記す)はヒトや動物の大腸内常在菌であり、下水、河川、海、耕地などの土壌に広く分布する。ヒトの感染症としては、食中毒の他に、ガス壊疽、化膿性感染症、敗血症が知られている。今回、当院において<I>C. perfringens</I>による肝膿瘍の破裂により、激しい血管内溶血を伴う敗血症の1症例を経験したので報告する。症例<BR>主訴:腹痛 <BR>既往歴:高血圧、糖尿病<BR>原病歴:平成19年3月17日に背部痛で他院受診、内臓に異常診断された。平成19年3月23日20時頃より心窩部から臍部痛に急激な腹痛があり、21時40分救急車で当院に搬送された。<BR>搬送時現症:体温36.6℃、血圧127/103mmHg、脈拍112回/分、呼吸音左右差(-)、ラッセル音(-)、心雑音(-)腹部平坦、腸蠕動音聴取、圧痛(-)CVA叩打痛(-)<BR>搬送時血液検査:溶血あり。CRP26.61mg/dl、白血球数10,800、肝臓系酵素上昇。<BR>CT検査:肝臓S4に6.1×3.9_cm_の空洞性腫瘤を認められ、内部にはガスと少量の液体が混在していた。<BR>搬送時血液培養検査:3月24日好気用ボトル、嫌気用ボトル共に自動培養装置で培養陽性。塗抹検査でグラム陰性桿菌およびグラム陽性桿菌が確認され、グラム陰性桿菌は<I>Klebsiera pneumoniae</I>,グラム陽性桿菌は<I>C. perfringens</I>と同定された。3月24日1時35分意識レベル低下し、急に痛みの訴えが減り、顔色不良、徐脈になった。蘇生術処置を行いながら,HUC入院となったが、3時00分死亡確認された。<BR>考察<<BR>ご家族より剖検の承諾が得られず、剖検が行えなっかたため、死因の確定が行えなかったが、血液検査の結果は図に示す様に、激しい血管内溶血をしめし、3月23日23時に培養が開始された血液培養で24日8時に培養陽性になっていたことから多量の菌が存在していた可能性がある。3月23日20時に生じた心窩部痛で肝膿瘍が破裂し、多量の<I>C. perfringens</I>が体内に散布されたものと考える。救急外来受診時の採血で既に溶血を認めていることから、受診時菌血症になっていたと推測する。この症例は<I>C. perfringens</I>の毒素により、激しい血管内溶血が起き、死に至ったと考えられる。
Bibliography:2F304
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.56.0.323.0