脾腫瘍の5例

画像診断法の普及により脾腫瘤の報告が増加してきているが、その診断には難渋することが多い。当院において5例の脾腫瘤を経験したのでその画像的特徴を若干の文献的考察を加えて報告する。  経験した症例は脾嚢胞1例、脾血管腫2例、脾炎症性偽腫瘍1例、転移性脾腫瘍1例であった。脾嚢胞の症例は27歳の女性、右下腹部痛を主訴として来院され、USで約10cmの嚢胞性病変を脾臓に指摘された。CTでは隔壁のある嚢胞性病変を指摘、MRIでは隔壁のある嚢胞性病変として指摘されたが造影される充実部分は存在しなかった。脾血管腫の症例は51歳男性と32歳女性。前者は健診で脾臓腫瘤を指摘、ダイナミックCTで脾臓内に多発の低吸収...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 335
Main Authors 岡田, 禎人, 横井, 俊平, 河原, 健夫, 山内, 康平, 檜垣, 栄治, 新井, 利幸, 佐藤, 健一郎, 安部, 哲也, 伊藤, 英樹, 佐伯, 悟三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2006
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.55.0.335.0

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Summary:画像診断法の普及により脾腫瘤の報告が増加してきているが、その診断には難渋することが多い。当院において5例の脾腫瘤を経験したのでその画像的特徴を若干の文献的考察を加えて報告する。  経験した症例は脾嚢胞1例、脾血管腫2例、脾炎症性偽腫瘍1例、転移性脾腫瘍1例であった。脾嚢胞の症例は27歳の女性、右下腹部痛を主訴として来院され、USで約10cmの嚢胞性病変を脾臓に指摘された。CTでは隔壁のある嚢胞性病変を指摘、MRIでは隔壁のある嚢胞性病変として指摘されたが造影される充実部分は存在しなかった。脾血管腫の症例は51歳男性と32歳女性。前者は健診で脾臓腫瘤を指摘、ダイナミックCTで脾臓内に多発の低吸収域を指摘された。後者は心窩部不快感で近医受診、USで境界不明瞭、円形多発のう胞のある腫瘤を指摘、ダイナミックCT動脈相で強く濃染され門脈相、平衡相でも脾臓実質より強い染まりを認めた。脾炎症性偽腫瘍の症例は44歳女性、健診USで脾臓内腫瘤を指摘された。ダイナミックCTで徐々にまだらに染まる像が得られた。MRIではT2強調画像でlow intensity、造影T1強調画像で不均一に染まる所見を認めた。転移性脾腫瘍の症例は61歳男性、2年前にS状結腸癌、腹膜播種、傍大動脈リンパ節転移陽性でS状結腸切除術を施行していた。腫瘍マーカーは高値、脾臓内に淡く造影される腫瘤を認め他部位に再発を認めなかったため、孤立性脾転移と診断した。  脾腫瘤は画像診断である程度の特徴的な所見があるが、術前診断をつけるのは困難であり今回全例に脾臓摘出術を行った。脾腫瘤については切除して組織診断をつけることが必要と考える。
Bibliography:2G209
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.55.0.335.0