BRONJの6例
現在当科で経過観察中の,ビスフォスフォネート製剤 (以下BPS)由来の顎骨壊死であるBRONJ の6例につ いて報告する。BPS は,悪性腫瘍に伴う高カルシウム血 症や多発性骨髄腫による骨病変,乳癌,前立腺癌などの溶 骨性骨病変の予防や治療,癌治療により誘発される骨量減 少の改善など臨床的有用性の高い薬剤として知られる。 BPS 投与患者の骨壊死の発生頻度は,0.8~12%であり, 発症はゾレドロン酸やパミドロン酸などの静注薬が高かっ たとの報告がある。今回の現疾患の内訳は,癌3例,骨粗 鬆症3例で,性別は,全員女性,平均年齢は,65歳であっ た。BPS の投与形態では,骨粗鬆症の2例がアレン...
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| Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 58; p. 438 |
|---|---|
| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2009
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
| DOI | 10.14879/nnigss.58.0.438.0 |
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| Summary: | 現在当科で経過観察中の,ビスフォスフォネート製剤 (以下BPS)由来の顎骨壊死であるBRONJ の6例につ いて報告する。BPS は,悪性腫瘍に伴う高カルシウム血 症や多発性骨髄腫による骨病変,乳癌,前立腺癌などの溶 骨性骨病変の予防や治療,癌治療により誘発される骨量減 少の改善など臨床的有用性の高い薬剤として知られる。 BPS 投与患者の骨壊死の発生頻度は,0.8~12%であり, 発症はゾレドロン酸やパミドロン酸などの静注薬が高かっ たとの報告がある。今回の現疾患の内訳は,癌3例,骨粗 鬆症3例で,性別は,全員女性,平均年齢は,65歳であっ た。BPS の投与形態では,骨粗鬆症の2例がアレンドロ ン酸内服投与,1例がリセドロン酸内服投与,癌の3例が 転移を示す進行癌であり抗がん剤と併用してゾレドロン酸 の静脈内投与であった。BPS の経口薬を投与されている 骨粗鬆症患者は発症頻度が0.01~0.04%であるのにたい し,静注薬を投与されている骨悪性病変患者では,発症頻 度が0.88~1.15%と高く,さらに抜歯が行われた場合発生 頻度は,10倍に増加すると言われている。今回は,義歯由 来の1例を除く6例中5例が抜歯後の治癒不全として発症 していた。症状は,疼痛と感染を伴う持続性の骨露出,顎 が重い感じやしびれ,歯肉腫脹,排膿,歯の動揺であっ た。臨床病期は,6例がstage2(AAOMS:臨床診断基 準,2007)の疼痛と感染を伴う骨露出,骨壊死であった。 発症後の対応として,BPS 投与中止に加え広域抗菌薬の 経口および経静脈内投与,6例中4例に壊死骨の表層的除 去と伴に1回2気圧,計10回の高気圧酸素療法を併用し た。処置後症状軽快と伴に,マクロライド系抗菌剤の長期 投与を行うことで,ある程度安定した状態で症状固定が得 られるものの定期的に画像による経過観察では,腐骨形成 部の分離(骨柩形成)が見られず病態は遷延化する傾向に あった。 |
|---|---|
| Bibliography: | P2-D417 |
| ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
| DOI: | 10.14879/nnigss.58.0.438.0 |