脳血管疾患患者の摂食・嚥下訓練への取り組み

脳血管障害の急性期では、摂食嚥下障害の合併症は高値である。しかし、正しくアプローチを行うと3ヶ月以内に75~80%は経口摂取が可能になると言われている。 当病棟では嚥下訓練施行患者に対し、食事援助マニュアル、嚥下チェック表、嚥下評価用紙を作成し活用してきた。 しかし、言語療法施行患者以外の嚥下訓練は実施されていないのが現状だった。 そこで、意識レベルがJCS1桁である、心肺・呼吸器合併症がない、脳血管病変に進行がない、30秒間に3回以上嚥下運動ができる、飲水試験(3ml)で嚥下反射を認める、十分な咳ができる、著しい舌運動・咽頭運動の低下がないの7項目の病棟独自の経口摂取開始基準を作成した。それ...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 57; p. 105
Main Authors 佐藤, 住恵, 藤原, 香織, 畠山, 菜津美, 伊藤, 恵理子, 佐藤, 敏光, 金, ひとみ, 猪股, 久美, 工藤, 則子, 三浦, 鋭子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2008
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.57.0.105.0

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Summary:脳血管障害の急性期では、摂食嚥下障害の合併症は高値である。しかし、正しくアプローチを行うと3ヶ月以内に75~80%は経口摂取が可能になると言われている。 当病棟では嚥下訓練施行患者に対し、食事援助マニュアル、嚥下チェック表、嚥下評価用紙を作成し活用してきた。 しかし、言語療法施行患者以外の嚥下訓練は実施されていないのが現状だった。 そこで、意識レベルがJCS1桁である、心肺・呼吸器合併症がない、脳血管病変に進行がない、30秒間に3回以上嚥下運動ができる、飲水試験(3ml)で嚥下反射を認める、十分な咳ができる、著しい舌運動・咽頭運動の低下がないの7項目の病棟独自の経口摂取開始基準を作成した。それらの条件を満たす患者に対し、摂食嚥下療法指示・計画簿を使用して、主治医の指示を受けた。言語聴覚士(以下STとする)は検査、指示内容、訓練目標を記入し、この内容に基づき、病棟看護師が対象患者の嚥下訓練を実施した。内容は、嚥下体操、アイスマッサージなどの間接訓練後、訓練食を摂取する直接訓練とした。訓練前後には口腔ケアを実施した。方法は、可能な限りブラッシングやスワブを使用して行い、食物残渣の除去に努め口腔内の清潔を保持した。 訓練の所要時間は30分とし、これを平日、日勤帯で1回施行した。 訓練開始時は、主治医又は、STより患者、家族へ訓練内容・訓練により起こりうる合併症等の説明を行い、同意を得、その旨を看護記録に記載した。 食事形態は、プリン・ゼリーヨーグルト・玉子豆腐などの開始食、ミキサー粥・芋や野菜のマッシュなどの訓練食A、全粥・白身魚や鶏挽肉のマッシュ・絹ごし豆腐・すりおろした果物などの訓練食Bと段階があり、栄養科に依頼した。開始食から始まり、1日1回昼に施行し、30分以内に7割以上の摂取を3日続けることができると、次の段階へ上がる。最終的に1日3食の食事が開始される。 訓練中、SpO2が90%以下、また訓練前の値より3%以上の低下があった場合は、訓練を中止する。その後、主治医に報告し、今後の方向性を確認する。訓練により状態が悪化した場合や、訓練を中止する際には、主治医より患者、家族へその都度説明を行う。 現在対象患者17名中、3食経口摂取可能となったのは12名。1日1食のみ経口摂取可能となったのは2名。経口摂取に至らなかったのは3名という結果となっている。
Bibliography:1F057
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.57.0.105.0