発芽玄米食摂取により、糖尿病コントロールが著明に改善され、インスリンの節減効果が得られた2型糖尿病の1例

〈症例〉76歳女性。うつ病治療,糖尿病コントロール目的を主訴に,平成20年8月28日に当院精神科に入院。糖尿病については,入院時,ノボラピッド30mix 朝20,夕8単位(計28単位)で,HbA1c6.9%であった。我々は,JA 愛知厚生連病院で協同して,2型糖尿病患者を対象として,発芽玄米食摂取による糖代謝の影響を継続的に検討しており,その治験に同意が得られたため,平成20年10月16日から,インスリン・内服治療は変更せず,食事のみを白米から,白米・発芽玄米混合食に変更し,食事カロリー数は同カロリーとする発芽玄米食による食事療法を開始した。開始後から,血糖コントロールは改善し,平成20年11...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 58; p. 168
Main Authors 大河内, 昌弘, 鴨下, 友彦, 長縄, 博和, 大野, 恒夫, 藤原, 周一, 加地, 謙太, 神谷, 泰隆, 本田, 浩一, 梅枝, 直裕, 山本, 陽一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2009
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.58.0.168.0

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Summary:〈症例〉76歳女性。うつ病治療,糖尿病コントロール目的を主訴に,平成20年8月28日に当院精神科に入院。糖尿病については,入院時,ノボラピッド30mix 朝20,夕8単位(計28単位)で,HbA1c6.9%であった。我々は,JA 愛知厚生連病院で協同して,2型糖尿病患者を対象として,発芽玄米食摂取による糖代謝の影響を継続的に検討しており,その治験に同意が得られたため,平成20年10月16日から,インスリン・内服治療は変更せず,食事のみを白米から,白米・発芽玄米混合食に変更し,食事カロリー数は同カロリーとする発芽玄米食による食事療法を開始した。開始後から,血糖コントロールは改善し,平成20年11月11日には,HbA1c5.6%と改善し,次第に低血糖を頻回に起こすようになり,インスリン単位数の継続的な減量を余儀なくされた。最終的に,ノボラピッド30mix 朝14,夕4単位(計18単位)まで減量したところ,低血糖は消失し,HbA1c5.2%と安定した。血糖日内変動の推移を見てみると,発芽玄米食施行前,終了後と比べて,発芽玄米食中は,食後血糖が有意に改善していた。一方,発芽玄米食施行前,中,終了後で,有意な内因性インスリン分泌の回復は認めておらず,発芽玄米食摂取による血糖コントロールの改善は,内因性インスリン分泌の回復によるものではないと考えられた。 〈考察〉当症例は,発芽玄米摂取後,低血糖を起こす要因となる体重減少・栄養状態の悪化,腎機能の悪化も無く,インスリン抗体産生も認めず,他のバイアスが入らない厳格な条件下で行われており,純粋に,発芽玄米食摂取が,血糖コントロールを改善したと考えられた。その機序として,発芽玄米食摂取が,食後血糖の改善を促すことによって,糖毒性を解除し,インスリンの効きを良くすることによって,結果的に,インスリン注射単位数の著明な節減効果をもたらしたと推測された。
Bibliography:23-01
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.58.0.168.0