日本における労働時間と睡眠時間の関係

日本人の睡眠時間が短いことはよく知られており,それには文化的・社会的要因があると考えられる。そしてその要因の一つとして,日本人の労働時間の長さが影響しているのではないかといわれることがある。しかし,労働時間の長さと睡眠時間の長さとの関係は,これまで実証的に考察されてきたわけではない。そもそも労働時間という社会的要因が睡眠時間に与える影響については,直接的な因果関係を実証的に考察することは難しい。睡眠時間については様々な要因が関わることが考えられ,そのような状況で労働時間の影響だけを実証的に扱うのは不可能と言ってよい。できることは,この問題に関連すると考えられるデータによって推論を試みることにな...

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Published in睡眠と環境 Vol. 19; no. 1; pp. 41 - 49
Main Author 豊田, 由貴夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本睡眠環境学会 30.06.2025
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ISSN1340-8275
2758-8890
DOI10.60259/jsleepenvi.19.1_41

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Summary:日本人の睡眠時間が短いことはよく知られており,それには文化的・社会的要因があると考えられる。そしてその要因の一つとして,日本人の労働時間の長さが影響しているのではないかといわれることがある。しかし,労働時間の長さと睡眠時間の長さとの関係は,これまで実証的に考察されてきたわけではない。そもそも労働時間という社会的要因が睡眠時間に与える影響については,直接的な因果関係を実証的に考察することは難しい。睡眠時間については様々な要因が関わることが考えられ,そのような状況で労働時間の影響だけを実証的に扱うのは不可能と言ってよい。できることは,この問題に関連すると考えられるデータによって推論を試みることになるだろう。そこで本論では,この問題を考えるために,関連する実証的なデータを示すことを目的とする。睡眠時間や労働時間に関しては,近年,国際的な比較や時間的な変化が調査されていることから,これらのデータをもとにして,労働時間と睡眠時間の関係について考察する。
ISSN:1340-8275
2758-8890
DOI:10.60259/jsleepenvi.19.1_41