腹腔内出血で発症した成人Meckel憩室の1例

症例は43歳の男性で,心窩部痛が増悪し当院を紹介受診した.CTで原因不明の腹腔内出血を疑い,緊急手術を施行した.Meckel憩室を認め,その漿膜側からの出血源を同定し,同部位を含めた小腸部分切除術を行った.切除標本所見ではMeckel憩室内に異所性粘膜や腫瘍性病変は認めなかったが,炎症による憩室内圧の上昇により漿膜および漿膜下の血管が破綻したことで腹腔内出血を引き起こしたと類推された.Meckel憩室は多くが無症状で経過するが,一部では消化管出血・腸閉塞・憩室炎などの症状を認める.自験例のように穿孔や腫瘍を伴わずに腹腔内出血を起こすことは極めてまれな病態であるが,迅速な外科的加療が必要な病態で...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 48; no. 12; pp. 1015 - 1020
Main Authors 呉林, 秀崇, 田中, 雄亮, 寺田, 卓郎, 斎藤, 健一郎, 三井, 毅, 天谷, 奨, 宗本, 義則, 高嶋, 吉浩, 飯田, 善郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2015
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2015.0009

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Summary:症例は43歳の男性で,心窩部痛が増悪し当院を紹介受診した.CTで原因不明の腹腔内出血を疑い,緊急手術を施行した.Meckel憩室を認め,その漿膜側からの出血源を同定し,同部位を含めた小腸部分切除術を行った.切除標本所見ではMeckel憩室内に異所性粘膜や腫瘍性病変は認めなかったが,炎症による憩室内圧の上昇により漿膜および漿膜下の血管が破綻したことで腹腔内出血を引き起こしたと類推された.Meckel憩室は多くが無症状で経過するが,一部では消化管出血・腸閉塞・憩室炎などの症状を認める.自験例のように穿孔や腫瘍を伴わずに腹腔内出血を起こすことは極めてまれな病態であるが,迅速な外科的加療が必要な病態であるため報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2015.0009