開口可能な顎位の維持により関節円板の整位が生じた間欠性ロックの1症例

間欠性ロックを呈した症例に対して咬合の修正を行い,補綴終了時に認められなかった関節円板の整位が,経過観察後に認められた症例について報告する。 初診時,自力でロック解除は可能であったが,頻回にロックを生じ,日常生活に支障をきたしていた(左側非復位性関節円板前方転位)。前方整位型スプリント装着中にはロックは生じなかったが,スプリント使用を中止すると食事の際には必ずロックを生じた。そこで,可逆的な方法として硬質レジン接着性スプリントを装着した。その際のMRIでは関節円板は非復位性転位のままであったが,ロックの再発はなく日常生活に支障のないスムーズな下顎運動が得られたことから,治療のエンドポイントと判...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 22; no. 2; pp. 79 - 83
Main Authors 石橋, 寛二, 藤澤, 政紀, 東海林, 理, 田邉, 憲昌, 金村, 清孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 2010
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu.22.79

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Summary:間欠性ロックを呈した症例に対して咬合の修正を行い,補綴終了時に認められなかった関節円板の整位が,経過観察後に認められた症例について報告する。 初診時,自力でロック解除は可能であったが,頻回にロックを生じ,日常生活に支障をきたしていた(左側非復位性関節円板前方転位)。前方整位型スプリント装着中にはロックは生じなかったが,スプリント使用を中止すると食事の際には必ずロックを生じた。そこで,可逆的な方法として硬質レジン接着性スプリントを装着した。その際のMRIでは関節円板は非復位性転位のままであったが,ロックの再発はなく日常生活に支障のないスムーズな下顎運動が得られたことから,治療のエンドポイントと判断しクラウン処置へ移行した。補綴終了時に非復位性転位であった左側関節円板は,1年6か月経過後のMRIにおいて整位されていた。下顎左側臼歯部の補綴処置による咬合サポートが顎関節への負荷を軽減させたこと,疼痛の消失,外側翼突筋上頭の筋拘縮緩和,スムーズな下顎運動の獲得などによって円板整位がなされたと考えられた。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.22.79