膵頭部と尾部に発生した多発分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍に対してmiddle-segment preserving pancreatectomyを施行した1例

症例は61歳の男性で,膵頭部と尾部に多発した分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍を認め,MRIおよび造影EUSで膵頭部病変は造影効果を示す壁在結節を伴っていた.経過観察中に,CA19-9が急上昇したため造影CTを施行したところ,膵頭部の囊胞に接して充実性腫瘤が出現した.尾部病変も造影効果のある壁肥厚を認めたことから,幽門輪温存膵頭十二指腸切除と膵体尾部切除を同時に行うmiddle-segment preserving pancreatectomy(以下,MSPPと略記)を施行した.術後は合併症なく退院した.インスリン注が必要となったが血糖管理も良好で栄養吸収障害も起こさず経過している.適応を慎重に選択す...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 49; no. 11; pp. 1133 - 1140
Main Authors 小林, 亮介, 知花, 朝史, 柳橋, 浩男, 有光, 秀仁, 滝口, 伸浩, 鍋谷, 圭宏, 山本, 宏, 今西, 俊介, 石毛, 文隆, 貝沼, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2016
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2015.0227

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Summary:症例は61歳の男性で,膵頭部と尾部に多発した分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍を認め,MRIおよび造影EUSで膵頭部病変は造影効果を示す壁在結節を伴っていた.経過観察中に,CA19-9が急上昇したため造影CTを施行したところ,膵頭部の囊胞に接して充実性腫瘤が出現した.尾部病変も造影効果のある壁肥厚を認めたことから,幽門輪温存膵頭十二指腸切除と膵体尾部切除を同時に行うmiddle-segment preserving pancreatectomy(以下,MSPPと略記)を施行した.術後は合併症なく退院した.インスリン注が必要となったが血糖管理も良好で栄養吸収障害も起こさず経過している.適応を慎重に選択する必要があるが,MSPPは膵機能温存を期待でき,安全に行える有用な術式であると考えられる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2015.0227