骨盤内後腹膜に発生した髄外形質細胞腫の1手術例

髄外性形質細胞腫は形質細胞性腫瘍の一種であり,鼻咽頭や上気道に発生することが多く,後腹膜に発生することは極めてまれである.今回,我々は他疾患の治療中に無症候性で偶然に発見された骨盤内後腹膜に由来する髄外性形質細胞腫の1例を経験した.症例は51歳の男性で,胆石胆囊炎にて当院消化器内科に入院した.腹部造影CTで左腸骨窩の後腹膜に約9 cm大の充実性腫瘤を指摘された.精査の結果,骨盤内後腹膜原発の悪性リンパ腫や神経鞘腫が疑われたが,確定診断には至らなかった.このため,胆囊炎の保存的治療後に,診断と治療の目的で胆摘と同時に腫瘍切除を行った.病理組織学的検査所見でIgGκ型の後腹膜髄外性形質細胞腫の診断...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 48; no. 3; pp. 248 - 254
Main Authors 中島, 紳太郎, 小菅, 誠, 矢永, 勝彦, 衛藤, 謙, 阿南, 匡, 北川, 和男, 小村, 伸朗, 友利, 賢太, 宇野, 能子, 小峰, 多雅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2015
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2014.0104

Cover

More Information
Summary:髄外性形質細胞腫は形質細胞性腫瘍の一種であり,鼻咽頭や上気道に発生することが多く,後腹膜に発生することは極めてまれである.今回,我々は他疾患の治療中に無症候性で偶然に発見された骨盤内後腹膜に由来する髄外性形質細胞腫の1例を経験した.症例は51歳の男性で,胆石胆囊炎にて当院消化器内科に入院した.腹部造影CTで左腸骨窩の後腹膜に約9 cm大の充実性腫瘤を指摘された.精査の結果,骨盤内後腹膜原発の悪性リンパ腫や神経鞘腫が疑われたが,確定診断には至らなかった.このため,胆囊炎の保存的治療後に,診断と治療の目的で胆摘と同時に腫瘍切除を行った.病理組織学的検査所見でIgGκ型の後腹膜髄外性形質細胞腫の診断に至った.病理学的に完全切除が得られたので,術後の放射線療法や化学療法は施行しなかった.髄外性形質細胞腫は画像や生化学検査で特徴的な所見に乏しいため,術前診断に至らないことが多い.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2014.0104