癌肉腫,扁平上皮癌,腺様成分を伴った食道神経内分泌癌の1例

症例は64歳の女性で,つかえ感を主訴に来院された.内視鏡検査では胸部中部食道に亜有茎性の1型の腫瘍を認め,生体組織検査では癌肉腫および神経内分泌癌の所見が得られた.CTでは胸部中部食道に32 mm大の腫瘍を認め,噴門周囲にリンパ節の腫大を認めた.右開胸開腹胸部食道切除,胸骨後経路胃管再建術を施行した.切除標本では中部食道に40×30 mmの1型病変を認めた.病理組織学的検査所見ではその9割を占める腫瘍はsynaptophysinおよびchromogranin A陽性で神経内分泌癌で,胞巣間の間質には腫大し異型な核を有する紡錘形の腫瘍細胞が錯綜し浸潤増殖していた(癌肉腫成分).また,腫瘍内部には...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 9; pp. 647 - 653
Main Authors 大上, 康広, 小出, 直彦, 奥村, 征大, 岩谷, 舞, 鈴木, 彰, 宮川, 眞一, 的場, 久典, 竹内, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2013
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2012.0226

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Summary:症例は64歳の女性で,つかえ感を主訴に来院された.内視鏡検査では胸部中部食道に亜有茎性の1型の腫瘍を認め,生体組織検査では癌肉腫および神経内分泌癌の所見が得られた.CTでは胸部中部食道に32 mm大の腫瘍を認め,噴門周囲にリンパ節の腫大を認めた.右開胸開腹胸部食道切除,胸骨後経路胃管再建術を施行した.切除標本では中部食道に40×30 mmの1型病変を認めた.病理組織学的検査所見ではその9割を占める腫瘍はsynaptophysinおよびchromogranin A陽性で神経内分泌癌で,胞巣間の間質には腫大し異型な核を有する紡錘形の腫瘍細胞が錯綜し浸潤増殖していた(癌肉腫成分).また,腫瘍内部には腺様成分の混在を認め,さらに腫瘍の基部には表在性に進展する扁平上皮癌を認めた.以上より,癌肉腫,扁平上皮癌,腺様成分を伴った食道神経内分泌癌は非常にまれであり,文献的考察を含め報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2012.0226