非閉塞性腸管虚血症様血管攣縮を呈しプロスタグランディンE1大量投与が奏効した上腸間膜動脈塞栓症の1例
症例は脳梗塞治療中の69歳の男性で,突然の腹痛で当院を受診した.造影CTにて小腸壁の造影不良と上腸間膜動脈(superior mesenteric artery;以下,SMAと略記)の閉塞を認め,血管造影検査にてSMA塞栓症と診断した.さらに,血管攣縮を認め非閉塞性腸管虚血症(non-occlusive mesenteric ischemia;以下,NOMIと略記)様の病態を合併していた.検査中に腹膜刺激症状が出現したため緊急手術を施行した.壊死腸管を切除後,一期的に吻合し手術を終えた.術中からプロスタグランディンE1(prostaglandin E1;以下,PGE1と略記)の静脈内持続投与を...
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| Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 50; no. 1; pp. 73 - 78 |
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| Main Authors | , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.01.2017
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| Subjects | |
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| ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
| DOI | 10.5833/jjgs.2015.0121 |
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| Summary: | 症例は脳梗塞治療中の69歳の男性で,突然の腹痛で当院を受診した.造影CTにて小腸壁の造影不良と上腸間膜動脈(superior mesenteric artery;以下,SMAと略記)の閉塞を認め,血管造影検査にてSMA塞栓症と診断した.さらに,血管攣縮を認め非閉塞性腸管虚血症(non-occlusive mesenteric ischemia;以下,NOMIと略記)様の病態を合併していた.検査中に腹膜刺激症状が出現したため緊急手術を施行した.壊死腸管を切除後,一期的に吻合し手術を終えた.術中からプロスタグランディンE1(prostaglandin E1;以下,PGE1と略記)の静脈内持続投与を開始し,術後は動脈内持続投与に切り替え,縫合不全を合併することなく救命しえた.腸間膜動脈閉塞症に対しても,PGE1を早期に投与することにより,併存するNOMI様の病態や潜在的な血管攣縮による腸管虚血発症のリスクを下げ,結果的に急性腸間膜血行不全症全体の予後改善に寄与しうると考えられた. |
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| ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
| DOI: | 10.5833/jjgs.2015.0121 |