HER2陽性進行胃癌切除後2年で単独脳転移を呈した1例

症例は75歳の男性で,2020年進行胃癌に対して腹腔鏡下胃全摘術を施行した.病理診断で口側断端にリンパ管侵襲を認め非治癒切除と判断した.免疫染色検査でHER2[3+]であり,術後化学療法としてトラスツズマブ+カペシタビン+シスプラチン療法8コースとカペシタビン単剤療法を16コース施行した.術後約2年で左下肢の脱力感および転倒のため近医搬送となった.CTで転移性脳腫瘍を指摘され当院へ転院となった.その他の転移はなく,脳神経外科で開頭腫瘍摘出術を施行した.術後病理より胃癌の転移性腫瘍と判断した.トラスツズマブ投与後の頭蓋内単独再発例であったため,頭蓋内も含めた全身の治療効果を期待してニボルマブ単独...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 57; no. 7; pp. 326 - 333
Main Authors 吉本, 幸司, 田村, 公二, 中村, 雅史, 森山, 大樹, 進藤, 幸治, 藤岡, 寛, 仲田, 興平, 新垣, 滉大, 下川, 能史, 毛利, 太郎, 池永, 直樹, 松本, 崇雅, 永吉, 絹子, 小田, 義直, 大内田, 研宙, 堤, 親範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.2024
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2023.0051

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Summary:症例は75歳の男性で,2020年進行胃癌に対して腹腔鏡下胃全摘術を施行した.病理診断で口側断端にリンパ管侵襲を認め非治癒切除と判断した.免疫染色検査でHER2[3+]であり,術後化学療法としてトラスツズマブ+カペシタビン+シスプラチン療法8コースとカペシタビン単剤療法を16コース施行した.術後約2年で左下肢の脱力感および転倒のため近医搬送となった.CTで転移性脳腫瘍を指摘され当院へ転院となった.その他の転移はなく,脳神経外科で開頭腫瘍摘出術を施行した.術後病理より胃癌の転移性腫瘍と判断した.トラスツズマブ投与後の頭蓋内単独再発例であったため,頭蓋内も含めた全身の治療効果を期待してニボルマブ単独投与を行い,術後6か月現在無再発経過中である.今回,我々はHER2陽性進行胃癌の切除後に抗HER2療法を行い,その後に単独脳転移を呈した1例を経験したため報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2023.0051