卵巣類内膜腺癌に同時発生したS状結腸子宮内膜症発癌の1例

症例は46歳の女性で,腹痛を主訴に当院受診し,右卵巣腫瘍破裂の診断で入院となった.腹部CT,MRIにて右卵巣に8 cm大の囊胞性腫瘍を認め,悪性が疑われた.また,大腸内視鏡検査ではS状結腸に2型病変を認め,S状結腸に浸潤する卵巣癌と診断し手術を施行した.術中所見では卵巣癌に浸潤所見は認めず,S状結腸癌,卵巣癌の重複と考え,S状結腸切除術,卵巣癌手術を施行した.病理組織学的検査でS状結腸腫瘍には腺癌像を認め,類内膜腺癌と診断した.卵巣腫瘍も類内膜腺癌と診断されたが,S状結腸腫瘍と右卵巣腫瘍にはそれぞれに子宮内膜組織から癌への移行像を認め,異所性子宮内膜から同時発生した重複癌と診断した.腸管傍リン...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 5; pp. 385 - 392
Main Authors 石山, 聡治, 横井, 一樹, 木村, 次郎, 末永, 雅也, 小沢, 広明, 森, 俊明, 鈴木, 祐一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2013
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2012.0225

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Summary:症例は46歳の女性で,腹痛を主訴に当院受診し,右卵巣腫瘍破裂の診断で入院となった.腹部CT,MRIにて右卵巣に8 cm大の囊胞性腫瘍を認め,悪性が疑われた.また,大腸内視鏡検査ではS状結腸に2型病変を認め,S状結腸に浸潤する卵巣癌と診断し手術を施行した.術中所見では卵巣癌に浸潤所見は認めず,S状結腸癌,卵巣癌の重複と考え,S状結腸切除術,卵巣癌手術を施行した.病理組織学的検査でS状結腸腫瘍には腺癌像を認め,類内膜腺癌と診断した.卵巣腫瘍も類内膜腺癌と診断されたが,S状結腸腫瘍と右卵巣腫瘍にはそれぞれに子宮内膜組織から癌への移行像を認め,異所性子宮内膜から同時発生した重複癌と診断した.腸管傍リンパ節には転移を認めたが,術後補助化学療法を行い5年生存を得ている.腸管子宮内膜症の癌化はまれであり,卵巣癌との同時発生例は報告をみない.腸管子宮内膜症癌化の報告例の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2012.0225