化学療法により完全奏効を得た同時性多発肝転移を伴う結腸癌の1例
症例は69歳の男性で,前医において上行結腸の2型進行癌,および肝両葉に最大径8 cm,計4か所の同時性肝転移を認めたため,切除せずにベバシズマブ+FOLFOXを12クール施行された.大腸内視鏡検査では原発巣は消失し,CT上,肝転移巣は全て縮小し,切除可能と判断され,肝切除目的に当院を紹介受診した.肝後区域+前区域背側切除,肝S2亜区域切除術を施行した.なお,消失した原発巣は,切除しなかった.術後経過は良好で術後9日目に退院した.病理組織学的検査所見では,肝病変は全て壊死組織に置き替わっており,腫瘍細胞を認めなかったため,病理学的完全奏効と診断した.術後補助化学療法は行っていないが,術前化学療法...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 47; no. 4; pp. 230 - 237 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2014
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2013.0144 |
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Summary: | 症例は69歳の男性で,前医において上行結腸の2型進行癌,および肝両葉に最大径8 cm,計4か所の同時性肝転移を認めたため,切除せずにベバシズマブ+FOLFOXを12クール施行された.大腸内視鏡検査では原発巣は消失し,CT上,肝転移巣は全て縮小し,切除可能と判断され,肝切除目的に当院を紹介受診した.肝後区域+前区域背側切除,肝S2亜区域切除術を施行した.なお,消失した原発巣は,切除しなかった.術後経過は良好で術後9日目に退院した.病理組織学的検査所見では,肝病変は全て壊死組織に置き替わっており,腫瘍細胞を認めなかったため,病理学的完全奏効と診断した.術後補助化学療法は行っていないが,術前化学療法終了から3年6か月,肝切除後3年3か月無再発である.原発巣を切除せずに肝転移巣のみ切除し,術後補助療法を行わず,長期無再発で経過を観察している点において極めて興味深い. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2013.0144 |