緩和的治療としての腹腔鏡下胆囊空腸バイパス術と胃空腸バイパス術同時施行例の検討

目的:膵頭部腫瘍による胆管・胃十二指腸狭窄に対して,緩和的に外科的バイパス術が行われることがある.今回,腹腔鏡下胆囊空腸バイパス術と胃空腸バイパス術の同時施行(以下,ダブルバイパス術と略記)症例において,その安全性と有効性を検討した.方法:2014年4月から2021年3月までに腹腔鏡下ダブルバイパス術を施行した10症例を対象とし,術後短期および長期成績を後方視的に検討した.結果:年齢中央値は73歳で,原疾患は膵頭部癌が8例と最多であり,閉塞性黄疸を3例,胃排出路閉塞を7例に認めた.閉塞性黄疸と胃排出路閉塞は全例で改善を認め,1例にClavien-Dindo grade IVの術後合併症を認めた...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 56; no. 5; pp. 299 - 305
Main Authors 大西, 竜平, 中島, 研郎, 森, 章, 金谷, 誠一郎, 上畑, 恭平, 岩井, 祐人, 烏山, 拓馬, 濱口, 雄平, 西田, 和樹, 桂, 隆介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2023
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2022.0029

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Summary:目的:膵頭部腫瘍による胆管・胃十二指腸狭窄に対して,緩和的に外科的バイパス術が行われることがある.今回,腹腔鏡下胆囊空腸バイパス術と胃空腸バイパス術の同時施行(以下,ダブルバイパス術と略記)症例において,その安全性と有効性を検討した.方法:2014年4月から2021年3月までに腹腔鏡下ダブルバイパス術を施行した10症例を対象とし,術後短期および長期成績を後方視的に検討した.結果:年齢中央値は73歳で,原疾患は膵頭部癌が8例と最多であり,閉塞性黄疸を3例,胃排出路閉塞を7例に認めた.閉塞性黄疸と胃排出路閉塞は全例で改善を認め,1例にClavien-Dindo grade IVの術後合併症を認めた.術後生存期間の中央値は6.4か月,胆管・胃十二指腸の再狭窄に対しての術後追加治療施行例はなかった.結語:腹腔鏡下ダブルバイパス術は安全に施行可能であり,緩和的治療の選択肢となりうる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2022.0029