虚血性腸炎が遷延し再手術を要した孤立性上腸間膜動脈解離の1例

孤立性の上腸間膜動脈(superior mesenteric artery;以下,SMAと略記)解離はまれな疾患で治療法も確立していない.手術とステント留置を行うも虚血性腸炎が遷延し再手術を要した症例を経験したので報告する.症例は38歳の男性で,造影CTで孤立性SMA解離と腸管造影不良を認め手術を行った.SMAにステントを留置し開腹すると右側結腸は壊死していたが小腸は壊死を免れていた.結腸右半切除術を行い,回腸人工肛門と横行結腸粘液瘻を造設したが高熱と腹痛が遷延した.造影CTではSMAと腸管に血流を認めたが広範な小腸浮腫を認めた.虚血性腸炎と考え保存的治療を継続したが,全身状態が悪化するため術...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 55; no. 7; pp. 456 - 463
Main Authors 前田, 賢人, 小林, 敏樹, 多田, 誠一郎, 川守田, 啓介, 高柳, 智保, 橋本, 洋右, 上田, 翔, 西谷, 健太, 米沢, 圭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.2022
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2021.0086

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Summary:孤立性の上腸間膜動脈(superior mesenteric artery;以下,SMAと略記)解離はまれな疾患で治療法も確立していない.手術とステント留置を行うも虚血性腸炎が遷延し再手術を要した症例を経験したので報告する.症例は38歳の男性で,造影CTで孤立性SMA解離と腸管造影不良を認め手術を行った.SMAにステントを留置し開腹すると右側結腸は壊死していたが小腸は壊死を免れていた.結腸右半切除術を行い,回腸人工肛門と横行結腸粘液瘻を造設したが高熱と腹痛が遷延した.造影CTではSMAと腸管に血流を認めたが広範な小腸浮腫を認めた.虚血性腸炎と考え保存的治療を継続したが,全身状態が悪化するため術後56日目に小腸を追加切除した.その後は状態改善し初回手術後113日目に退院した.SMA血行再建を行い,腸壊死を免れた場合も虚血性腸炎が遷延する場合は手術を検討すべきと考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2021.0086