脳梗塞後の抗血小板療法中に無石胆囊炎にて発症し,胆囊出血を来した胆囊仮性動脈瘤破裂の1例

症例は75歳の男性で,既往歴として65歳時より高血圧,高脂血症に対して内服加療中であった.3か月前にアテローム血栓性脳梗塞を発症し抗血小板剤を開始されていた.脳梗塞後の左半身麻痺に対してリハビリテーション目的で入院中であったところ,腹痛が出現した.血液生化学検査で炎症反応の高値を認めたが貧血はなかった.腹部USおよびCTで急性胆囊炎と診断された.結石はなかった.手術待機中の急性胆囊炎発症後9日目に再び腹痛が出現した.血圧95/66 mmHg,脈拍112/分とショック状態,血液生化学検査で炎症増悪,貧血,肝胆道系酵素の上昇,黄疸があり,腹部CTで胆囊仮性動脈瘤破裂による胆囊出血と診断し開腹胆囊摘...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 6; pp. 431 - 440
Main Authors 渡辺, 伸元, 佐賀, 信介, 川井, 覚, 村田, 嘉彦, 松崎, 安孝, 松永, 和哉, 河南, 晴久, 神谷, 里明, 大岩, 孝, 山中, 秀高
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2013
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2012.0208

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Summary:症例は75歳の男性で,既往歴として65歳時より高血圧,高脂血症に対して内服加療中であった.3か月前にアテローム血栓性脳梗塞を発症し抗血小板剤を開始されていた.脳梗塞後の左半身麻痺に対してリハビリテーション目的で入院中であったところ,腹痛が出現した.血液生化学検査で炎症反応の高値を認めたが貧血はなかった.腹部USおよびCTで急性胆囊炎と診断された.結石はなかった.手術待機中の急性胆囊炎発症後9日目に再び腹痛が出現した.血圧95/66 mmHg,脈拍112/分とショック状態,血液生化学検査で炎症増悪,貧血,肝胆道系酵素の上昇,黄疸があり,腹部CTで胆囊仮性動脈瘤破裂による胆囊出血と診断し開腹胆囊摘出術を施行した.無石胆囊炎後の仮性動脈瘤破裂はまれだが今回,血管病変を有し抗血小板療法中の虚血が原因の時は,発症より数日後に胆囊仮性動脈瘤の形成と破裂から胆囊出血を来すことがあり,注意が必要と思われた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2012.0208