Segmental arterial mediolysisに伴う未破裂多発肝内動脈瘤の自然軽快例

症例は45歳の女性で,特発性血小板減少性紫斑病の診断で当院血液内科にて加療を受けていたが,内科的な治療に抵抗性のため外科へ紹介になり,2014年8月にhand-assisted laparoscopic surgery(HALS)による脾臓摘出術を行った.術後経過は良好で第6病日目に退院した.術後門脈血栓および脾動脈瘤の検索目的で行った第17病日目の造影CTで肝内に多発する動脈瘤を認めた.Segmental arterial mediolysis(以下,SAMと略記)を疑い,全身検索を行ったところ,肝内の動脈瘤以外には病変を認めなかった.摘出した脾臓の病理組織検査の結果,脾門部の動脈内に空泡変...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 50; no. 5; pp. 379 - 385
Main Authors 盛, 直生, 飯澤, 肇, 櫻井, 直樹, 緒形, 真也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2017
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2016.0085

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Summary:症例は45歳の女性で,特発性血小板減少性紫斑病の診断で当院血液内科にて加療を受けていたが,内科的な治療に抵抗性のため外科へ紹介になり,2014年8月にhand-assisted laparoscopic surgery(HALS)による脾臓摘出術を行った.術後経過は良好で第6病日目に退院した.術後門脈血栓および脾動脈瘤の検索目的で行った第17病日目の造影CTで肝内に多発する動脈瘤を認めた.Segmental arterial mediolysis(以下,SAMと略記)を疑い,全身検索を行ったところ,肝内の動脈瘤以外には病変を認めなかった.摘出した脾臓の病理組織検査の結果,脾門部の動脈内に空泡変性が認められたためSAMと診断し,肝内動脈瘤はSAMによるものと判断した.患者および家族と相談し,造影CTによる定期的な経過観察を行っていたところ,約10か月後のCTで肝内動脈瘤は画像上消失していた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2016.0085