体質性indocyanine green排泄異常症を伴う進行食道癌に対して集学的治療により治癒切除を遂行できた1例
症例は57歳の男性で,全身倦怠感と食欲不振の精査にて進行食道癌と診断された.治療前indocyanine green(以下,ICGと略記)検査で15分値が72.1%と異常高値,99m-Tc-galactosyl-human serum albumin(GSA)肝シンチグラフィでも肝予備能の低下を認めたが,血液検査ではChild-Pugh Grade Aに相当した.術前化学療法としてDCF療法を3コース後,術前肝生検を踏まえ耐術可能な体質性ICG排泄異常症と診断した.手術はロボット支援下胸腔鏡下食道切除(胸管温存),頸胸腹部郭清,後縦隔経路胃管再建を施行し,術中に表面平滑で形態学的異常のない肝臓...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 57; no. 3; pp. 117 - 124 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.03.2024
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2023.0019 |
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Summary: | 症例は57歳の男性で,全身倦怠感と食欲不振の精査にて進行食道癌と診断された.治療前indocyanine green(以下,ICGと略記)検査で15分値が72.1%と異常高値,99m-Tc-galactosyl-human serum albumin(GSA)肝シンチグラフィでも肝予備能の低下を認めたが,血液検査ではChild-Pugh Grade Aに相当した.術前化学療法としてDCF療法を3コース後,術前肝生検を踏まえ耐術可能な体質性ICG排泄異常症と診断した.手術はロボット支援下胸腔鏡下食道切除(胸管温存),頸胸腹部郭清,後縦隔経路胃管再建を施行し,術中に表面平滑で形態学的異常のない肝臓が確認された.化学療法,手術における重篤な有害事象や合併症は認めなかった.体質性ICG排泄異常症を有する進行食道癌に対して集学的根治治療が可能であった症例を報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2023.0019 |