当院での骨盤骨折における経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)症例の検討

目的:骨盤骨折に対しTranscatheter Arterial Embolization(以下TAE)を施行した症例について検討した.対象と方法:2010年1月から2013年12月の間で,骨盤骨折に対して緊急TAEを施行した24症例について,診療録から各項目を後方視的に調査し,生存群と死亡群間での有意差を統計学的に比較した.結果:凝固異常,アシドーシス,循環不安定,遷延するショックを伴っており,また骨盤骨折部位以外の後腹膜出血を合併する症例が死亡群には有意に多かった.非選択的塞栓術は50%に施行されていたが,局所合併症は認めなかった.損傷血管は,内腸骨動脈領域が88%を占めており,2枝以上の...

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Published inJournal of the Japanese Association for the Surgery of Trauma Vol. 29; no. 3; pp. 348 - 354
Main Authors 澤野, 宏隆, 一柳, 裕司, 林, 靖之, 甲斐, 達朗, 大場, 次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 2015
The Japanese Association for the Surgery of Trauma
Subjects
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.29.348

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Summary:目的:骨盤骨折に対しTranscatheter Arterial Embolization(以下TAE)を施行した症例について検討した.対象と方法:2010年1月から2013年12月の間で,骨盤骨折に対して緊急TAEを施行した24症例について,診療録から各項目を後方視的に調査し,生存群と死亡群間での有意差を統計学的に比較した.結果:凝固異常,アシドーシス,循環不安定,遷延するショックを伴っており,また骨盤骨折部位以外の後腹膜出血を合併する症例が死亡群には有意に多かった.非選択的塞栓術は50%に施行されていたが,局所合併症は認めなかった.損傷血管は,内腸骨動脈領域が88%を占めており,2枝以上の多発動脈損傷は75%と高率に認めた.骨折型と損傷血管とに相関関係はなかった.結語:全身状態とCTなどの画像評価を確実に行い,他部位の出血を過小評価せず,短時間で有効なTAEを施行することが重要である.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.29.348