軟X線吸収分光によるリチウムイオン二次電池高容量Si負極とLiPF6電解質溶液との固-液界面反応現象の観測

シリコンは従来のグラファイト負極と比較して重量エネルギー密度がはるかに高いため,リチウムイオン二次電池(LIB)の有望な負極材料であるが,その化学的な劣化因子はほとんど明らかになっていない.本稿ではX線吸収分光(XAS)によって調べられた電極劣化へとつながるSi電極と電解質溶液との化学反応性について報告する.XAS測定用のモデルSi電極として,DCマグネトロンスパッタリング法によって成膜された50 nm厚のアモルファスSi(a-Si)薄膜電極を準備した.LiPF6電解質溶液に浸漬したa-Si薄膜電極のSi K吸収端XASスペクトルから,a-Si薄膜電極の電極活物質はa-Siからヘキサフルオロシ...

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Published inX線分析の進歩 Vol. 54; pp. 185 - 192
Main Authors 大園, 洋史, 神田, 一浩, 中西, 康次, 森, 拓弥, 鈴木, 哲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会 31.03.2023
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ISSN0911-7806
2758-3651
DOI10.57415/xshinpo.54.0_185

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Summary:シリコンは従来のグラファイト負極と比較して重量エネルギー密度がはるかに高いため,リチウムイオン二次電池(LIB)の有望な負極材料であるが,その化学的な劣化因子はほとんど明らかになっていない.本稿ではX線吸収分光(XAS)によって調べられた電極劣化へとつながるSi電極と電解質溶液との化学反応性について報告する.XAS測定用のモデルSi電極として,DCマグネトロンスパッタリング法によって成膜された50 nm厚のアモルファスSi(a-Si)薄膜電極を準備した.LiPF6電解質溶液に浸漬したa-Si薄膜電極のSi K吸収端XASスペクトルから,a-Si薄膜電極の電極活物質はa-Siからヘキサフルオロシリケイト(Li2SiF6)へと化学状態変化している.これによりSi電極が充放電に関係なく,電解質溶液中のLiPF6塩に接触するだけで劣化することが明らかとなった.
ISSN:0911-7806
2758-3651
DOI:10.57415/xshinpo.54.0_185