Open abdomen managementを知らずに重症外傷患者の "腹" を診療できるか

“Open abdomen” - 腹壁に欠損があり, 腹腔内臓器が外界に露出する状態のことである. 腹部外傷や内因性腹部疾患に対するdamage control surgeryのコンセプトの一般化, 腹部コンパートメント症候群の病態認識の広がりに伴い, open abdomen managementは重症腹部病態患者に対する基本的治療アプローチのひとつとなっている. 外傷患者に対するopen abdomenにおいて, 一時的閉腹法としての陰圧閉鎖療法はもっともポピュラーな方法であり, 腹腔内貯留液体の効果的排除, 筋膜側方退縮予防, ナーシングケアの改善効果などから, その適用が推奨されている...

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Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 38; no. 3; pp. 353 - 359
Main Author 久志本, 成樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.07.2024
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.38.3_17

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Summary:“Open abdomen” - 腹壁に欠損があり, 腹腔内臓器が外界に露出する状態のことである. 腹部外傷や内因性腹部疾患に対するdamage control surgeryのコンセプトの一般化, 腹部コンパートメント症候群の病態認識の広がりに伴い, open abdomen managementは重症腹部病態患者に対する基本的治療アプローチのひとつとなっている. 外傷患者に対するopen abdomenにおいて, 一時的閉腹法としての陰圧閉鎖療法はもっともポピュラーな方法であり, 腹腔内貯留液体の効果的排除, 筋膜側方退縮予防, ナーシングケアの改善効果などから, その適用が推奨されている. しかし, 定型的閉腹率と生命転帰への効果は明らかでない. Damage control surgery施行例におけるopen abdomen managementから定型的筋膜閉鎖, 一時的閉腹法としての陰圧閉鎖療法の変遷と位置づけ, 早期閉腹不能例におけるopen abdomenの変化と腹壁再建のためのcomponents separation technique, open abdomen managementの臨床的エビデンスをレビューし, 重症腹部外傷患者に対する定型的治療法のひとつとなっているopen abdomen managementに関して, これまでと今後を考えてみたい.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.38.3_17