肺動脈瘻を合併した左冠動脈瘤破裂による心肺停止状態から救命された1例

症例は76歳の男性。突然の意識消失で救急搬送された。精査により冠動脈肺動脈瘻破裂と診断し, 心タンポナーデによる閉塞性ショックに対して心囊ドレナージを行い循環動態が一時改善したが, 再出血のため心肺停止に至った。二次救命処置を行いながら緊急手術を実施し, 人工心肺下に冠動脈肺動脈瘻閉鎖術を施行した。術後, 心囊ドレーンの排液は病的増加なく経過したが, 第6病日にCT検査で心囊内に巨大血腫が判明したため血腫除去術を施行した。術後より意識障害が遷延し, 人工呼吸器離脱は困難であり, 第29病日に気管切開術を施行した。全身状態は安定したが脳神経学的転帰は不良で, 第63病日に転院した。肺動脈瘻に合併...

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Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 44; no. 2; pp. 253 - 256
Main Authors 大坪, 諭, 藤岡, 舞, 橋野, 伸, 須田, 秀太郎, 村上, 諒典, 伊藤, 隆仁, 武部, 元次郎, 菅原, 洋子, 増澤, 佑哉, 関根, 和彦, 若原, 聡汰, 庄司, 高裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 31.03.2023
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ISSN0287-301X
2434-2580
DOI10.24697/jaamkanto.44.2_253

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Summary:症例は76歳の男性。突然の意識消失で救急搬送された。精査により冠動脈肺動脈瘻破裂と診断し, 心タンポナーデによる閉塞性ショックに対して心囊ドレナージを行い循環動態が一時改善したが, 再出血のため心肺停止に至った。二次救命処置を行いながら緊急手術を実施し, 人工心肺下に冠動脈肺動脈瘻閉鎖術を施行した。術後, 心囊ドレーンの排液は病的増加なく経過したが, 第6病日にCT検査で心囊内に巨大血腫が判明したため血腫除去術を施行した。術後より意識障害が遷延し, 人工呼吸器離脱は困難であり, 第29病日に気管切開術を施行した。全身状態は安定したが脳神経学的転帰は不良で, 第63病日に転院した。肺動脈瘻に合併した冠動脈瘤破裂において心肺停止状態から救命し得た報告はきわめてまれであるが, 心タンポナーデが急速に進行しない場合や, 迅速に経皮的人工心肺装置の導入および緊急手術が実施された場合は救命できる可能性があると考えられた。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.44.2_253