国立大学における共同研究件数の推移から見る産学連携の実状と課題

国立大学における産学連携の実状を明確にするために,共同研究件数の推移について調査した. 共同研究件数で比較すると東京大学や京都大学のような大規模大学が上位に位置することが多いが,理系教員一人当たりの共同研究件数で比較すると,岩手大学,茨城大学,横浜国立大学,静岡大学,三重大学などの大学や理系単科大学の多くが高い値を示し,共同研究が活発に行われていることが明らかになった. 近年における中小企業を相手先とする共同研究の件数を調査した結果,一部の大学を除いたほとんどの大学で,横ばい,ないしは,減少傾向にあり,特に,東北北部,山陰,四国,九州に位置する大学の多くで低い傾向が見られた.この結果は,大学が...

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Published in産学連携学 Vol. 8; no. 1; pp. 1_39 - 1_46
Main Author 北村, 寿宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 産学連携学会 2011
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ISSN1349-6913
1881-8706
DOI10.11305/jjsip.8.1_39

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Summary:国立大学における産学連携の実状を明確にするために,共同研究件数の推移について調査した. 共同研究件数で比較すると東京大学や京都大学のような大規模大学が上位に位置することが多いが,理系教員一人当たりの共同研究件数で比較すると,岩手大学,茨城大学,横浜国立大学,静岡大学,三重大学などの大学や理系単科大学の多くが高い値を示し,共同研究が活発に行われていることが明らかになった. 近年における中小企業を相手先とする共同研究の件数を調査した結果,一部の大学を除いたほとんどの大学で,横ばい,ないしは,減少傾向にあり,特に,東北北部,山陰,四国,九州に位置する大学の多くで低い傾向が見られた.この結果は,大学が位置する地元の中小企業との共同研究が進んでいないことを示唆しており,地域イノベーションの創出の推進役が大学とその近隣の企業であることを考えると,今後の改善に向けての取り組みが必要であると考えられる.
ISSN:1349-6913
1881-8706
DOI:10.11305/jjsip.8.1_39