KDBシステムより把握した健康状態不明者該当の有無とフレイルの関連:大和市の悉皆調査による横断研究

目的 高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施において,「健康状態不明者の状況把握・適切なサービスに接続する取組」が推進されている。先行研究より,健康状態不明者を特定することで「要介護2以上又は死亡」のハイリスク者を予測できることが報告されているが,フレイルとの関連は明らかにされていない。本研究では,KDBシステムを用いて把握した健康状態不明者と,フレイルの該当について関連があるかを横断的に検討することを目的とした。方法 2020年度大和市介護予防アンケート(65歳以上の自立高齢者を対象とした悉皆調査)の回答データを用い,76歳以上の後期高齢者16,186人を解析対象とした。「2年連続不明者(2...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 72; no. 8; pp. 521 - 529
Main Authors 遠又 靖丈, 長谷川 未帆子, 田中 和美, 長瀬 香織, 石田 幸枝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2025
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.24-104

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Summary:目的 高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施において,「健康状態不明者の状況把握・適切なサービスに接続する取組」が推進されている。先行研究より,健康状態不明者を特定することで「要介護2以上又は死亡」のハイリスク者を予測できることが報告されているが,フレイルとの関連は明らかにされていない。本研究では,KDBシステムを用いて把握した健康状態不明者と,フレイルの該当について関連があるかを横断的に検討することを目的とした。方法 2020年度大和市介護予防アンケート(65歳以上の自立高齢者を対象とした悉皆調査)の回答データを用い,76歳以上の後期高齢者16,186人を解析対象とした。「2年連続不明者(2019~2020年度に健診および医療を未受診の者)」と「非不明者(2019~2020年度に健診又は医療を受診している者)」の2群に群分けし,基本チェックリストにおける「フレイル(8項目以上のリスクに該当)」「プレフレイル/フレイル(4項目以上のリスクに該当)」と各分野の該当基準について,単変量および多変量ロジスティック回帰分析を行い,それぞれオッズ比と95%信頼区間を算出した。結果 2年連続不明者において,性・年齢区分・家族構成を調整後もフレイルのオッズ比が1.58(95%信頼区間:1.21–2.07)と統計学的に有意に高かった。基本チェックリストの各分野の該当基準について,2年連続不明者における性・年齢区分・家族構成を調整したオッズ比は「閉じこもり予防・支援」が2.26(95%信頼区間:1.55–3.30)と最も高く,ついで「うつ予防・支援の5項目を除く20項目」,「運動器の機能向上」の順となっており,以上の3項目で統計学的に有意な関連が認められた。結論 2年連続で健診・医療を未受診であり,要介護認定をうけていない76歳以上の健康状態不明者と,フレイルの該当に関連があることが明らかになった。一体的実施の「健康状態不明者の状況把握・適切なサービスへ接続する取組」においては,健診や医療の受診勧奨に留まらず,フレイル対策を積極的に行う必要があると考えられる。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.24-104