蝶形骨洞炎による海綿静脈洞血栓症の1例

海綿静脈洞血栓症は抗生物質が普及した現在, 非常に稀な疾患であるが, 早期に診断し治療を開始しなければ致死的となる場合もある。この度, 早期治療により軽快した海綿静脈洞血栓症の1例を経験した。 症例は33歳男性, 頭痛を主訴に当院救急外来を受診となり, 右蝶形骨洞炎として経過観察したが, その後左眼痛, 左眼瞼腫脹が出現し精査加療目的に眼科入院となった。画像精査で左海綿静脈洞血栓症と診断し, 感染源制御目的に蝶形骨洞炎に対して内視鏡下鼻内手術を施行した。術後は抗菌薬大量投与を行い徐々に症状と所見は改善し, 術後15日目での退院となった。 海綿静脈洞血栓症は非常に稀な疾患ではあるが, 早期診断,...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 55; no. 3; pp. 178 - 182
Main Authors 森脇, 宏人, 森野, 常太郎, 原山, 幸久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 2012
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.55.178

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Summary:海綿静脈洞血栓症は抗生物質が普及した現在, 非常に稀な疾患であるが, 早期に診断し治療を開始しなければ致死的となる場合もある。この度, 早期治療により軽快した海綿静脈洞血栓症の1例を経験した。 症例は33歳男性, 頭痛を主訴に当院救急外来を受診となり, 右蝶形骨洞炎として経過観察したが, その後左眼痛, 左眼瞼腫脹が出現し精査加療目的に眼科入院となった。画像精査で左海綿静脈洞血栓症と診断し, 感染源制御目的に蝶形骨洞炎に対して内視鏡下鼻内手術を施行した。術後は抗菌薬大量投与を行い徐々に症状と所見は改善し, 術後15日目での退院となった。 海綿静脈洞血栓症は非常に稀な疾患ではあるが, 早期診断, 早期治療をすることによって致死的な状況を回避できるだけでなく, 後遺症の合併がなく治癒できる可能性があるため, 鑑別として念頭におく必要がある。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.55.178