RET遺伝子異常を呈した散発性甲状腺髄様癌の１例

• Published in: 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 29; no. 2; pp. 162 - 165
• Main Authors: 西脇, 眞, 代永, 和秀, 清野, 徳彦, 雨宮, 隆介, 伊藤, 亮, 安見, 和彦, 奥田, 康一
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2012
• Subjects: RET遺伝子; 多発性内分泌腺腫症; 家族性甲状腺髄様癌; 甲状腺髄様癌; 遺伝子多型
• ISSN: 2186-9545
• DOI: 10.11226/jaesjsts.29.2_162

症例は62歳，女性。主訴は頸部腫瘤。現病歴は左頸部に腫瘤を自覚し，当科紹介受診となった。触診にて甲状腺左葉に３cm大の弾性，軟な圧痛を伴う腫瘤を触知した。穿刺吸引細胞診２回施行するも，良悪性の判定は困難であった。血清CEA　56.0ng/ml，カルシトニン6,980pg/mlと高値であった。131Ⅰ-MIBGシンチにて甲状腺左葉に一致して集積を認めた。 甲状腺髄様癌の診断で，甲状腺全摘術および頸部リンパ節郭清術を施行した。病理診断は甲状腺髄様癌であった。術後RET遺伝子を検索したところ，エクソン11（コドン691）の変異を認めたが，われわれの経験した症例は散発例の遺伝子多型と考えられた。一側性に腫瘍が発生する散発性甲状腺髄様癌においては，その手術術式は腺葉峡切除＋リンパ節郭清も選択される。甲状腺髄様癌が疑われた場合，術前よりRET遺伝子検査を行い，遺伝性の有無の詳細な検討，術式の検討を行うことが重要であると思われた。