甲状腺腫瘍の超音波診断と穿刺吸引細胞診の適応基準
今回のATAガイドラインでは,超音波所見と予想される悪性の可能性および腫瘍径を制限した細胞診の適応に関して明らかに記載されている。1cm以下の腫瘍に対しては,特徴的な超音波所見,リンパ節腫大,臨床的高危険要素(幼児期の頸部への外照射歴,甲状腺癌の家族歴)などを除けば,1cm以下の危険性の少ない症例を精査から除外することを提唱している。また,微小甲状腺癌の全てに対して,極めてわずかな例外的結果を防ぐために精査,加療を行うことは患者にとって有益であるよりも,有害であると決断付けている。また,殆どの甲状腺癌は低リスクであり,多くの甲状腺癌は人体の健康をわずかながら脅かすリスクをみせているが,十分に治...
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Published in | 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 247 - 252 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 2186-9545 |
DOI | 10.11226/jaesjsts.32.4_247 |
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Summary: | 今回のATAガイドラインでは,超音波所見と予想される悪性の可能性および腫瘍径を制限した細胞診の適応に関して明らかに記載されている。1cm以下の腫瘍に対しては,特徴的な超音波所見,リンパ節腫大,臨床的高危険要素(幼児期の頸部への外照射歴,甲状腺癌の家族歴)などを除けば,1cm以下の危険性の少ない症例を精査から除外することを提唱している。また,微小甲状腺癌の全てに対して,極めてわずかな例外的結果を防ぐために精査,加療を行うことは患者にとって有益であるよりも,有害であると決断付けている。また,殆どの甲状腺癌は低リスクであり,多くの甲状腺癌は人体の健康をわずかながら脅かすリスクをみせているが,十分に治療可能であると述べられており,今回のATAガイドラインは,微小乳頭癌に対する精査・加療を不要との意思を明らかにしたものである。 |
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ISSN: | 2186-9545 |
DOI: | 10.11226/jaesjsts.32.4_247 |