硬膜下膿瘍をきたした急性副鼻腔炎の1例

今回我々は, 急性副鼻腔炎に続発した頭蓋内合併症の1例を経験したので, 文献的考察を加え報告する。症例は11歳男子。急性副鼻腔炎に右硬膜下膿瘍, 化膿性髄膜炎を合併した。抗菌薬の全身投与に加え内視鏡下鼻内手術, 開頭硬膜下膿瘍洗浄ドレナージが行われた。その後, 後遺症なく退院となった。1987年以降に本邦にて報告された鼻性頭蓋内合併症例70例では, 膿瘍形成を認める症例が多数を占め, 年齢は10歳代の若年男性が多い。主病変としては前頭洞が多い。前頭洞が主病変の場合には脳膿瘍形成が多く, 蝶形骨洞の場合は髄膜炎や海綿静脈洞血栓症が多い。また, 前頭洞が主病変であり骨欠損を伴う場合は, 膿瘍形成を...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 56; no. 3; pp. 111 - 119
Main Authors 小島, 博己, 森脇, 宏人, 森野, 常太郎, 山本, 和央, 杉本, 直基, 鴻, 信義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.06.2013
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.56.111

Cover

More Information
Summary:今回我々は, 急性副鼻腔炎に続発した頭蓋内合併症の1例を経験したので, 文献的考察を加え報告する。症例は11歳男子。急性副鼻腔炎に右硬膜下膿瘍, 化膿性髄膜炎を合併した。抗菌薬の全身投与に加え内視鏡下鼻内手術, 開頭硬膜下膿瘍洗浄ドレナージが行われた。その後, 後遺症なく退院となった。1987年以降に本邦にて報告された鼻性頭蓋内合併症例70例では, 膿瘍形成を認める症例が多数を占め, 年齢は10歳代の若年男性が多い。主病変としては前頭洞が多い。前頭洞が主病変の場合には脳膿瘍形成が多く, 蝶形骨洞の場合は髄膜炎や海綿静脈洞血栓症が多い。また, 前頭洞が主病変であり骨欠損を伴う場合は, 膿瘍形成を伴う確率が高い。感染制御目的に早期の鼻副鼻腔手術が必須であり, 脳神経外科と連携した適切な治療が重要である。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.56.111