卵巣癌139症例の長期予後と病理組織型別予後に対する参耆剤の影響

当院の卵巣癌139症例のデータを用いて,参耆剤を卵巣癌の標準治療に併用した場合の予後および病理組織型別の予後への影響を検討した。Ⅰ~Ⅱ期症例においては参耆剤の有効性が認められなかったが,Ⅲ~Ⅳ期症例では有効性を示す傾向が見られた。病理組織型別に参耆剤の有効性を検討したところ,漿液性腺癌と粘液性腺癌で予後が改善される傾向があり,類内膜腺癌と明細胞癌では予後に差が無かった。このことは組織型により参耆剤の効果に差がある可能性を示唆する。各進行期の病理組織型分布の差を検討したところ,Ⅰ・Ⅱ期では明細胞腺癌が多く,Ⅲ・Ⅳ期では漿液性腺癌と低分化腺癌が多かった。この差が参耆剤の有効性が進行期により異なる原...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 70; no. 4; pp. 376 - 383
Main Authors 松井, 純子, 中根, 慶太, 山本, 真一, 長船, 綾子, 池田, 昇平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2019
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.70.376

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Summary:当院の卵巣癌139症例のデータを用いて,参耆剤を卵巣癌の標準治療に併用した場合の予後および病理組織型別の予後への影響を検討した。Ⅰ~Ⅱ期症例においては参耆剤の有効性が認められなかったが,Ⅲ~Ⅳ期症例では有効性を示す傾向が見られた。病理組織型別に参耆剤の有効性を検討したところ,漿液性腺癌と粘液性腺癌で予後が改善される傾向があり,類内膜腺癌と明細胞癌では予後に差が無かった。このことは組織型により参耆剤の効果に差がある可能性を示唆する。各進行期の病理組織型分布の差を検討したところ,Ⅰ・Ⅱ期では明細胞腺癌が多く,Ⅲ・Ⅳ期では漿液性腺癌と低分化腺癌が多かった。この差が参耆剤の有効性が進行期により異なる原因である可能性がある。しかし症例数が少なく統計学的な有意差を確認できなかった。更なる詳細な検討のためには,他施設との共同研究などを通じて症例数の蓄積が必須と思われた。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.70.376