末梢性顔面神経麻痺の筋電図学的単一筋線維に関する研究

末梢性顔面神経麻痺の臨床症例および虚血性顔面神経麻痺動物モデルにおいて単一筋線維筋電図 (SFEMG) 法による検討を行つた. 1) ヒト, ネコにおける正常口輪筋でのSFEMGのjitter値を記録し, その推計学的に5%危険率の棄却楕円図を作成した. 両者のjitter値および棄却楕円図は極めて近似していた. 2) 麻痺軽症群および虚血性顔面神経麻痺モデルでは, 麻痺の回復とともにjitter値は正常化した. 3) 麻痺重症群では, 麻痺の重症度の強い症例ほど, jitter値のばらつきもまた大きく, その値は正常群の棄却楕円図の遥か圏外に位置する傾向にある. 4) 顔面神経の側頭骨外神経...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 40; no. 6; pp. 861 - 874
Main Author 伊達, 和宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 1994
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi1954.40.6_861

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Summary:末梢性顔面神経麻痺の臨床症例および虚血性顔面神経麻痺動物モデルにおいて単一筋線維筋電図 (SFEMG) 法による検討を行つた. 1) ヒト, ネコにおける正常口輪筋でのSFEMGのjitter値を記録し, その推計学的に5%危険率の棄却楕円図を作成した. 両者のjitter値および棄却楕円図は極めて近似していた. 2) 麻痺軽症群および虚血性顔面神経麻痺モデルでは, 麻痺の回復とともにjitter値は正常化した. 3) 麻痺重症群では, 麻痺の重症度の強い症例ほど, jitter値のばらつきもまた大きく, その値は正常群の棄却楕円図の遥か圏外に位置する傾向にある. 4) 顔面神経の側頭骨外神経幹刺激によつて記録される口輪筋の誘発SFEMGのjitter値は, SFEMG法と同様に麻痺の回復過程の観察に有用である.
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi1954.40.6_861