広域での津波堆積物層厚分布を活用した2011年東北地方太平洋沖地震の津波波源モデルの推定

本研究では,津波堆積物の層厚分布に基づいて津波波源モデルを推定する手法を構築した。津波波源モデルとして,すべり欠損速度分布と過去の地震履歴に基づいて円錐型断層モデルを用い,津波堆積物の調査測線に沿った堆積量と断層すべり量の関係を定式化し,堆積量の実測 値を再現する断層すべり量を推定した。新しい手法の適用性を評価するために,東北地方の3地域で2011年東北沖地震(Mw9.0)によって形成された津波堆積物から津波波源モデルを推定した。その結果,断層すべり量と測線堆積量は比例関係にあることがわかった。定式化した関係式から推定された地震規模はMw9.0であった。従って,津波堆積物の層厚情報のみから巨大...

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Published in自然災害科学 Vol. 37; no. 4; pp. 419 - 432
Main Authors 今村, 文彦, 後藤, 和久, 久松, 明史, 菅原, 大助
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本自然災害学会 2019
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ISSN0286-6021
2434-1037
DOI10.24762/jndsj.37.4_419

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Summary:本研究では,津波堆積物の層厚分布に基づいて津波波源モデルを推定する手法を構築した。津波波源モデルとして,すべり欠損速度分布と過去の地震履歴に基づいて円錐型断層モデルを用い,津波堆積物の調査測線に沿った堆積量と断層すべり量の関係を定式化し,堆積量の実測 値を再現する断層すべり量を推定した。新しい手法の適用性を評価するために,東北地方の3地域で2011年東北沖地震(Mw9.0)によって形成された津波堆積物から津波波源モデルを推定した。その結果,断層すべり量と測線堆積量は比例関係にあることがわかった。定式化した関係式から推定された地震規模はMw9.0であった。従って,津波堆積物の層厚情報のみから巨大津波の波源モデルを一定程度に推定できることが示された。
ISSN:0286-6021
2434-1037
DOI:10.24762/jndsj.37.4_419