気象庁全球週間アンサンブル予報のダウンスケールデータを用いた相対湿度および葉面濡れの確率予報実験と検証

イネ葉いもち病等の誘因となる葉面の濡れについて,降水による濡れだけではなく結露による濡れにも対応できる葉面濡れ確率予報システムを開発し,圃場の観測値を用いて検証を行った.まず,全球週間アンサンブル予報を気象庁非静力学モデルにより力学的にダウンスケールした結果,濡れと関係の深い相対湿度89%以上となる予報確率は,予測対象日が降水日の場合は4日前から,非降水日の場合は1週間前から,気候学的な出現確率よりも精度が高かった.次に,高解像度化したアンサンブル予報データを利用し,濡れを相対湿度の閾値で判定する湿度法と陸面過程モデルで推定する手法の性能を比較した.結露とその蒸発を陽に計算できる陸面過程モデル...

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Published in天気 Vol. 69; no. 3; pp. 133 - 148
Main Authors 岩崎, 俊樹, 菅野, 洋光, 山崎, 剛, 福井, 真, 大久保, さゆり, 池田, 翔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本気象学会 2022
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ISSN0546-0921
2434-1185
DOI10.24761/tenki.69.3_133

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Summary:イネ葉いもち病等の誘因となる葉面の濡れについて,降水による濡れだけではなく結露による濡れにも対応できる葉面濡れ確率予報システムを開発し,圃場の観測値を用いて検証を行った.まず,全球週間アンサンブル予報を気象庁非静力学モデルにより力学的にダウンスケールした結果,濡れと関係の深い相対湿度89%以上となる予報確率は,予測対象日が降水日の場合は4日前から,非降水日の場合は1週間前から,気候学的な出現確率よりも精度が高かった.次に,高解像度化したアンサンブル予報データを利用し,濡れを相対湿度の閾値で判定する湿度法と陸面過程モデルで推定する手法の性能を比較した.結露とその蒸発を陽に計算できる陸面過程モデルを用いることで,既存の湿度法に対して,地理的な汎用性と葉面濡れ継続時間の予測精度が向上することを確認した.本研究で提案する葉面濡れ確率予報は,決定論的手法に対して信頼度情報を付加できるという長所を持つ.
ISSN:0546-0921
2434-1185
DOI:10.24761/tenki.69.3_133