祖父, 孫娘にクローン病の発症をみた1家系

• Published in: 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 43; no. 3; pp. 450 - 454
• Main Authors: 渡辺, 晃, 三浦, 正明, 山下, 和良, 佐々木, 高, 樋渡, 信夫, 豊田, 降謙
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本大腸肛門病学会 1990
• Subjects: クローン病; 家族内発生
• ISSN: 0047-1801; 1882-9619
• DOI: 10.3862/jcoloproctology.43.450

当科で観察したクローン病99家系中4家系に家族内発生がみられた.今回われわれは, 祖父と孫娘にクローン病の発症をみた1家系について報告する.症例1は, 昭和41年55歳時右下腹部痛, 体重減少, 微熱にて発症した.回腸, 結腸に縦走潰瘍, 敷石像を認めクローン病と診断した.切除標本には, 裂溝, 全層性炎症, 非乾酪性肉芽腫を認めた.症例2は, 症例1の長男の長女で, 昭和61年14歳時腹痛にて発症した.小腸に縦走潰瘍, 敷石像, 大腸にアフタ様潰瘍, 生検にて肉芽腫を認めクローン病と確診した.クローン病の家族内発生は, 遺伝的素因と環境因子の関与が示唆されるが, 本例では同居した時期がほとんどなく, 遺伝的素因が発症に強く関与したと考えられた.