人回盲口の生体観察所見―内容輸送時の開閉機序の考察

Behcet病で加療中,盲腸上行結腸の多発性潰瘍の穿孔をきたし,病変部のexteriorizationを行なった33歳男性例について,露出した回盲口における造影剤,腸内容の流出状況を反復観察した. 生体の回盲口は盲腸壁より明らかに突出した拇指頭大の乳頭様隆起の中に開口し,唇状ないし弁様構造はみられない。回盲口は安静時にはつねに閉鎖しており,指を挿入すると乳頭様隆起の基底部,回腸未端部の盲腸壁内部に相当して筋性輪状緊張帯をふれる。回盲口の閉鎖にはこの部分が括約筋様に作用するのであろう。内容の流出は食事摂取と関係し,大体一定した時刻にみられる。Balloon法による回腸終末部の内圧変動,先に報告し...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 25; no. 4; pp. 246 - 250,323
Main Authors 堀内, 弘, 山田, 公雄, 富田, 濤児, 植草, 実, 遠藤, 巖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 1972
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.25.246

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Summary:Behcet病で加療中,盲腸上行結腸の多発性潰瘍の穿孔をきたし,病変部のexteriorizationを行なった33歳男性例について,露出した回盲口における造影剤,腸内容の流出状況を反復観察した. 生体の回盲口は盲腸壁より明らかに突出した拇指頭大の乳頭様隆起の中に開口し,唇状ないし弁様構造はみられない。回盲口は安静時にはつねに閉鎖しており,指を挿入すると乳頭様隆起の基底部,回腸未端部の盲腸壁内部に相当して筋性輪状緊張帯をふれる。回盲口の閉鎖にはこの部分が括約筋様に作用するのであろう。内容の流出は食事摂取と関係し,大体一定した時刻にみられる。Balloon法による回腸終末部の内圧変動,先に報告した回盲部運動のレ線映画観察所見と比較し,内容輸送時の回盲口の開口は回腸終末部に現われる緊張性収縮の延長,波及による.盲腸内容の回腸への逆流阻止は膨満した盲腸壁の一部として回盲口も緊張するためと考えられる.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.25.246