systemic lupus erythematosusの経過中にS状結腸―空腸・膀胱・皮膚瘻を形成し治療に難渋した1例

症例は65歳の女性で,2001年に全身性エリテマトーデスと診断され,ステロイド内服治療により症状は安定していた.2006年10月に腹痛出現し,ループス腸炎が疑われたため,入院の上絶食・抗生剤投与・ステロイド増量が行われた.症状は一旦改善したが,経口摂取を開始してまもなく再燃し,大腸内視鏡検査・注腸造影検査でS状結腸に潰瘍性病変と膀胱S状結腸瘻を認めた.2007年2月には腹壁気腫と皮膚瘻も出現したため当院転院となった.耐術能のコントロール目的でステロイドを漸減し,同年7月にハルトマン手術を施行した.病理組織学的検査所見で粘膜下層の血管炎が原因であると示唆された.術後は全身状態を観察しながらステロ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 6; pp. 688 - 696
Main Authors 石川, 博文, 中川, 顕志, 大山, 孝雄, 渡辺, 明彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2012
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.45.688

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Summary:症例は65歳の女性で,2001年に全身性エリテマトーデスと診断され,ステロイド内服治療により症状は安定していた.2006年10月に腹痛出現し,ループス腸炎が疑われたため,入院の上絶食・抗生剤投与・ステロイド増量が行われた.症状は一旦改善したが,経口摂取を開始してまもなく再燃し,大腸内視鏡検査・注腸造影検査でS状結腸に潰瘍性病変と膀胱S状結腸瘻を認めた.2007年2月には腹壁気腫と皮膚瘻も出現したため当院転院となった.耐術能のコントロール目的でステロイドを漸減し,同年7月にハルトマン手術を施行した.病理組織学的検査所見で粘膜下層の血管炎が原因であると示唆された.術後は全身状態を観察しながらステロイド投与量をコントロールしており,再発を認めていない.全身性エリテマトーデスに伴う消化管穿孔はまれであるが予後不良であり,慎重なステロイド療法や適切な手術時期の判断などの治療戦略が重要であると考える.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.688