腹腔鏡下手術を施行した横行結腸間膜内ヘルニアの1例

腹腔内の内ヘルニアのうち横行結腸間膜ヘルニアはまれな疾患である.術前診断は困難であり手術時に診断がつくことが多い.今回,我々は術前に横行結腸間膜ヘルニアと診断し,腹腔鏡下手術を施行した本症の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は腹部手術歴のない25歳の女性で,持続する腹痛と嘔吐を主訴に受診した.身体所見上,腹部は平坦,軟であったが,心窩部に圧痛を認めた.腹部CTで横行結腸の背側で尾側から頭側に向かって陥入する拡張した小腸を認めた.血管や十二指腸との関係から横行結腸間膜ヘルニアが疑われ,同日緊急腹腔鏡下手術を施行した.手術所見では,横行結腸間膜後葉に約2 cmの間膜欠損を認め,小腸...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 9; pp. 986 - 993
Main Authors 加納, 宣康, 三毛, 牧夫, 草薙, 洋, 山田, 成寿, 杉本, 卓哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.2012
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.45.986

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Summary:腹腔内の内ヘルニアのうち横行結腸間膜ヘルニアはまれな疾患である.術前診断は困難であり手術時に診断がつくことが多い.今回,我々は術前に横行結腸間膜ヘルニアと診断し,腹腔鏡下手術を施行した本症の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は腹部手術歴のない25歳の女性で,持続する腹痛と嘔吐を主訴に受診した.身体所見上,腹部は平坦,軟であったが,心窩部に圧痛を認めた.腹部CTで横行結腸の背側で尾側から頭側に向かって陥入する拡張した小腸を認めた.血管や十二指腸との関係から横行結腸間膜ヘルニアが疑われ,同日緊急腹腔鏡下手術を施行した.手術所見では,横行結腸間膜後葉に約2 cmの間膜欠損を認め,小腸が陥入しており,横行結腸間膜内ヘルニアと診断した.脱出腸管を整復後,ヘルニア門を縫合閉鎖した.陥入小腸に虚血性変化は認めず,術後4日目に退院した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.986