脾原発炎症性筋線維芽細胞性腫瘍の1切除例

症例は76歳の男性で,スクリーニング目的で施行された腹部超音波検査にて,脾臓に径3 cm大の腫瘤性病変を指摘された.症状は認めなかった.腹部造影CT,腹部MRIにて確定診断がつかず,脾腫瘤の精査加療目的に当科受診となった.FDG-PETで同部位に強い集積が認められたため,悪性腫瘍の可能性を疑い,手術を施行した.術後の病理組織学的検索にて,炎症性筋繊維芽細胞性腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor;以下,IMTと略記)と診断した.術後経過は良好であり,無再発に経過していたが,術後2年3か月後,原発性肺癌を発症した.化学療法を施行されたが,脾摘術後3年4か月で肺...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 8; pp. 857 - 864
Main Authors 庄, 雅之, 野々村, 昭孝, 山田, 高嗣, 鎌田, 喜代志, 中島, 祥介, 榎本, 泰典, 伊藤, 眞廣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.08.2012
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.45.857

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Summary:症例は76歳の男性で,スクリーニング目的で施行された腹部超音波検査にて,脾臓に径3 cm大の腫瘤性病変を指摘された.症状は認めなかった.腹部造影CT,腹部MRIにて確定診断がつかず,脾腫瘤の精査加療目的に当科受診となった.FDG-PETで同部位に強い集積が認められたため,悪性腫瘍の可能性を疑い,手術を施行した.術後の病理組織学的検索にて,炎症性筋繊維芽細胞性腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor;以下,IMTと略記)と診断した.術後経過は良好であり,無再発に経過していたが,術後2年3か月後,原発性肺癌を発症した.化学療法を施行されたが,脾摘術後3年4か月で肺癌にて死亡した.脾原発IMTの本邦での報告は5例のみと極めてまれな疾患であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.857