胃静脈瘤破裂を初発症状とし, 経過中肝内結節性病変を認めた原発性硬化性胆管炎(PSC) の1例

症例は21歳男性.吐下血を主訴に来院, 緊急内視鏡にてLsF2CbRC (+) Lg-c (+) の食道胃静脈瘤と胃静脈瘤上の出血点を認め, EVL, EISにて止血した.腹部エコー, CTにて肝左葉の腫大, 脾腫, 両側肝内胆管の拡張を認め, 胆道造影所見より肝内外型の原発性硬化性胆管炎 (PSC) と診断した.組織学的には肝硬変に至らず, Ludwigの病期分類でstage IIIと思われるが, 小葉間胆管周囲の著明な炎症, 線維化が門脈域全体に強い線維化の波及を来し, 門脈圧亢進症を招いたものと推察された.また入院時, 左葉外側区辺縁に連珠状に連なる20×50mmの結節性病変を認めたが,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌 Vol. 4; no. 4; pp. 360 - 367
Main Authors 軽部, 真明, 桃井, 優, 田中, 健彦, 金沢, 晃, 佐崎, なほ子, 忠願寺, 義通, 新沢, 岳, 川原, 穣, 梅北, 信孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本門脈圧亢進症学会 15.12.1998
Online AccessGet full text
ISSN1341-6375
2187-1213
DOI10.11423/jsph1995.4.4_360

Cover

More Information
Summary:症例は21歳男性.吐下血を主訴に来院, 緊急内視鏡にてLsF2CbRC (+) Lg-c (+) の食道胃静脈瘤と胃静脈瘤上の出血点を認め, EVL, EISにて止血した.腹部エコー, CTにて肝左葉の腫大, 脾腫, 両側肝内胆管の拡張を認め, 胆道造影所見より肝内外型の原発性硬化性胆管炎 (PSC) と診断した.組織学的には肝硬変に至らず, Ludwigの病期分類でstage IIIと思われるが, 小葉間胆管周囲の著明な炎症, 線維化が門脈域全体に強い線維化の波及を来し, 門脈圧亢進症を招いたものと推察された.また入院時, 左葉外側区辺縁に連珠状に連なる20×50mmの結節性病変を認めたが, しだいに縮小, 不明瞭化した.肝部分切除したが, 明らかな結節性病変は認めず.組織では門脈域を中心として肝細胞の増生の強い所見が認められ, PSCに伴う胆汁うっ滞や血流不均衡などの結果生じた再生性結節性病変が, 消化管出血に伴う肝血流低下や肝動脈へのlipiodol注入などの影響で縮小した可能性が示唆された.
ISSN:1341-6375
2187-1213
DOI:10.11423/jsph1995.4.4_360