摂食・嚥下障害者における栄養摂取方法と口腔内環境との関連
摂食・嚥下障害者の栄養摂取方法と口腔内環境との関連を明らかにする目的で, 介護力強化病院および老人保健施設に入院・入居中の摂食・嚥下障害の疑いのある53名 (男性13名, 女性40名, 平均年齢78.1±11.3歳) 中, 義歯非使用者35名 (男性8名, 女性27名, 平均年齢76.9±12.0歳) を対象に, 本研究を行った。調査方法は, 日常生活状況, 口腔ケア, 摂食状況について, 担当の介護者, 看護婦 (士) に対して聞き取り調査を行った。口腔内診査, 機能評価, 口腔衛生状態については, 歯科医師・歯科衛生士が検査した。その結果, 以下の知見を得た。 1) オーラルディスキネジア...
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| Published in | 老年歯科医学 Vol. 15; no. 1; pp. 14 - 24 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本老年歯科医学会
31.07.2000
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0914-3866 1884-7323 |
| DOI | 10.11259/jsg1987.15.14 |
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| Abstract | 摂食・嚥下障害者の栄養摂取方法と口腔内環境との関連を明らかにする目的で, 介護力強化病院および老人保健施設に入院・入居中の摂食・嚥下障害の疑いのある53名 (男性13名, 女性40名, 平均年齢78.1±11.3歳) 中, 義歯非使用者35名 (男性8名, 女性27名, 平均年齢76.9±12.0歳) を対象に, 本研究を行った。調査方法は, 日常生活状況, 口腔ケア, 摂食状況について, 担当の介護者, 看護婦 (士) に対して聞き取り調査を行った。口腔内診査, 機能評価, 口腔衛生状態については, 歯科医師・歯科衛生士が検査した。その結果, 以下の知見を得た。 1) オーラルディスキネジアがある者は, 経口摂取者群で26名中3名 (11.5%), 経管栄養者群では9名中4名 (44.4%) であり, 経口摂取者群と経管栄養者群との間に, 5%の危険率で有意差が認められた。 2) 開口量は, 30mm以上開口が可能な者は, 経口摂取者群では26名中20名 (76.9%), 経管栄養者群では9名中3名 (33.3%) であり, 経口摂取者群と経管栄養者群との問に, 5%の危険率で有意差が認められた。 3) 舌炎がある者は, 経口摂取者群では26名中2名 (7.7%), 経管栄養者群では9名中5名 (55.6%) であり, 経口摂取者群と経管栄養者群との間に, 1%の危険率で有意差が認められた。 4) 舌背部カンジダ菌陽性者は, 経口摂取者群では26名中22名 (84.6%), 経管栄養者群では9名中3名 (33.3%) であり, 経口摂取者群と経管栄養者群との問に, 1%の危険率で有意差が認められた。 5) 栄養摂取方法を外的基準として数量化理論II類検定を行った結果, 舌炎が最も高い偏相関係数0.663を示した。 |
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| AbstractList | 摂食・嚥下障害者の栄養摂取方法と口腔内環境との関連を明らかにする目的で, 介護力強化病院および老人保健施設に入院・入居中の摂食・嚥下障害の疑いのある53名 (男性13名, 女性40名, 平均年齢78.1±11.3歳) 中, 義歯非使用者35名 (男性8名, 女性27名, 平均年齢76.9±12.0歳) を対象に, 本研究を行った。調査方法は, 日常生活状況, 口腔ケア, 摂食状況について, 担当の介護者, 看護婦 (士) に対して聞き取り調査を行った。口腔内診査, 機能評価, 口腔衛生状態については, 歯科医師・歯科衛生士が検査した。その結果, 以下の知見を得た。 1) オーラルディスキネジアがある者は, 経口摂取者群で26名中3名 (11.5%), 経管栄養者群では9名中4名 (44.4%) であり, 経口摂取者群と経管栄養者群との間に, 5%の危険率で有意差が認められた。 2) 開口量は, 30mm以上開口が可能な者は, 経口摂取者群では26名中20名 (76.9%), 経管栄養者群では9名中3名 (33.3%) であり, 経口摂取者群と経管栄養者群との問に, 5%の危険率で有意差が認められた。 3) 舌炎がある者は, 経口摂取者群では26名中2名 (7.7%), 経管栄養者群では9名中5名 (55.6%) であり, 経口摂取者群と経管栄養者群との間に, 1%の危険率で有意差が認められた。 4) 舌背部カンジダ菌陽性者は, 経口摂取者群では26名中22名 (84.6%), 経管栄養者群では9名中3名 (33.3%) であり, 経口摂取者群と経管栄養者群との問に, 1%の危険率で有意差が認められた。 5) 栄養摂取方法を外的基準として数量化理論II類検定を行った結果, 舌炎が最も高い偏相関係数0.663を示した。 |
| Author | 向井, 美恵 大塚, 義顕 田村, 文誉 水上, 美樹 綾野, 理加 |
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| References | 4) Sand C., Rennie R.P.: Comparison of three commercial system for the identification of germtube negative yeast species isolated from clinical specimens. Diagn. Microbiol. Infect. Dis., 33: 223-229, 1999. 16) Myers, D.E., Schooler N.R., Zullo T.G., Levin H.: A retrospective study of the effects of edentulism on the severity ranting of Tardivedyskinesia. J. prothet. Dent., 69: 78-81, 1993. 2) 向井美恵: 老年者の摂食・嚥下機能障害とリハビリテーション, 歯界展望, 91: 309-318, 1998. 21) 中尾俊一, 他偏: 中尾俊一, 荒川浩久, 飯塚喜一, 他著: 口腔衛生学, p.101, 103-108, クインテッセンス出版, 東京, 1987. 24) Gordon, DF, Gibbons R.J.: Studies of the predominant cultivable microorganisms from the human tongue. Arch Oral Biol., 11: 627-632, 1966. 19) 上野正, 伊藤秀夫監修: 最新口腔外科学, p.19-20, 医歯薬出版, 東京, 1986. 30) 野村美江子, 浅香次夫: 義歯性口内炎とCandidaをめぐって予防歯科の立場から, 逓信医学, 47: 153-157, 1995. 7) Teasell R.W.: Prevalence and recovery of aspiration poststroke; a retrospective analysis. Dysphagia, 9: 35-39, 1994. 31) 北原稔, 白田チョ編, 高江洲義矩監修: 実践訪問口腔ケア, 上巻, p.4, クインテッセンス出版, 東京, 1999. 26) 大目亨: 口内炎・舌炎, 「治療」創刊80巻記念号, 516-517, 1998. 22) 上野正, 伊藤秀夫監修: 最新口腔外科学, p.699-670, 735-738, 医歯薬出版, 東京, 1986. 28) 野村美江子, 浅香次夫: 歯根面う蝕とCandida, 逓信医学, 47: 433-437, 1995. 25) 池邊一典, 喜多誠一, 古備政仁, 難波秀和, 谷岡望, 小野高裕, 野首孝祠: 要介護高齢者の義歯へのCandida菌付着状況-生活環境, 痴呆および就寝時の義歯装着による影響, 老年歯学, 12: 213-220, 1998. 9) Finestone H.M.: Malnutrition in stroke patients on the rehabilitation service and at followup; prevalence and predictors. Arch Phys Med Rehabil, 76: 310-316, 1995. 11) 斎藤厚, 河野茂: 呼吸器感染症おける口腔内細菌の意義-とくに嫌気性菌について-, Prog. Med., 9: 2805-2809, 1989. 15) 増田裕治, 日高修, 森本俊文: 大脳基底核と口腔異常運動-口舌ディスキネジア-, 歯界展望, 93: 234-235, 1999. 10) 比嘉太, 斎藤厚: 誤嚥性肺炎の起炎菌, Geriatric Medicine, 35: 153-156, 1997. 8) 才藤栄一, 馬場尊, 鈴木美保, 岡田澄子, 藤谷順子, 植田耕一郎: 脳卒中後の嚥下障害とその対応, リハビリテーション医学, 34: 543-559, 1997. 20) 上野正, 伊藤秀夫監修: 最新口腔外科学, p.102, 医歯薬出版, 東京, 1986. 18) 細野純, 稲垣明弘, 神尾政治, 中村厚一, 佐藤甫幸, 田村文誉, 水上美樹, 綾野理加, 向井美恵: 感覚過敏症状のある要介護高齢者への脱感作床装置の試み, 日摂食嚥下リハ会誌, 2: 88-89, 1998.(抄 14) 市川修, 大友英一: 目でみる老年疾患 (10) 口部ジスキネジア, 老化と疾患, 7: 494-498, 1994. 32) 瀧口徹, 鴨井久一, 向井美恵, 丹羽源男編: 歯科医師・歯科衛生士のための介護保険対応型歯科保健・医療ガイドブック, p.68, 永末書店, 東京, 1999. 6) Johnson E.R.: Aspiration pneumonia in stroke. Arch Phys Med Rehabil, 74: 973-976, 1993. 23) 野口忠秀, 赤坂庸子, 神部芳則, 大橋一之: ビタミンB12欠乏による萎縮性舌炎の2例, 日口診誌, 11: 98-102, 1998. 27) 菊谷武, 鈴木章, 稲葉繁, 斎藤昇: 高齢入院患者における舌背上のカンジダについて-摂取食形態, 唾液分泌量との関係-, 老年歯学, 13: 23-28, 1998. 1) 才藤栄一, 藤谷順子, 植田耕一郎, 岡田澄子: 脳卒中と重度嚥下障害, 総合リハ, 22: 943-947, 1994. 3) 田村文誉, 綾野理加, 水上美樹, 大塚義顕, 藤谷順子, 向井美恵: 要介護者の口腔内過敏症状に関わる要因分析, 口腔衛生会誌, 49: 794-802, 1999. 29) Butz-Jorgensen E.: The significance of Candicta albicans in denture stomatitis, Scand. J. Dent. Res., 82: 151-190, 1974. 5) 山根誠久: 最新データーベースを用いたVitek Systems Yeast Biochemical Card (YBC) での酵母様真菌同定, 臨床と微生物, 18: 105-111, 1991. 17) 金子芳洋監修, 金子芳洋, 向井美恵, 尾本和彦著: 食べる機能の障害, p.56-58, 医歯薬出版, 東京, 1993. 13) 上林豊彦, 中野公, 桐田忠明, 下岡尚史, 杉村正仁: 要介護高齢者の口腔内実態調査-第1報特別養護老人ホームと老人保健施設との比較-, 老年歯学, 11: 202-209, 1997. 12) 田村文誉, 水上美樹, 綾野理加, 大塚義顕, 岡野哲子, 高橋昌人, 向井美恵: 要介護高齢者における摂食・嚥下機能減退に関わる要因-安定した顎位と嚥下機能との関連-, 口腔衛生会誌, 50: 182-188, 2000. |
| References_xml | – reference: 9) Finestone H.M.: Malnutrition in stroke patients on the rehabilitation service and at followup; prevalence and predictors. Arch Phys Med Rehabil, 76: 310-316, 1995. – reference: 8) 才藤栄一, 馬場尊, 鈴木美保, 岡田澄子, 藤谷順子, 植田耕一郎: 脳卒中後の嚥下障害とその対応, リハビリテーション医学, 34: 543-559, 1997. – reference: 23) 野口忠秀, 赤坂庸子, 神部芳則, 大橋一之: ビタミンB12欠乏による萎縮性舌炎の2例, 日口診誌, 11: 98-102, 1998. – reference: 27) 菊谷武, 鈴木章, 稲葉繁, 斎藤昇: 高齢入院患者における舌背上のカンジダについて-摂取食形態, 唾液分泌量との関係-, 老年歯学, 13: 23-28, 1998. – reference: 12) 田村文誉, 水上美樹, 綾野理加, 大塚義顕, 岡野哲子, 高橋昌人, 向井美恵: 要介護高齢者における摂食・嚥下機能減退に関わる要因-安定した顎位と嚥下機能との関連-, 口腔衛生会誌, 50: 182-188, 2000. – reference: 22) 上野正, 伊藤秀夫監修: 最新口腔外科学, p.699-670, 735-738, 医歯薬出版, 東京, 1986. – reference: 25) 池邊一典, 喜多誠一, 古備政仁, 難波秀和, 谷岡望, 小野高裕, 野首孝祠: 要介護高齢者の義歯へのCandida菌付着状況-生活環境, 痴呆および就寝時の義歯装着による影響, 老年歯学, 12: 213-220, 1998. – reference: 28) 野村美江子, 浅香次夫: 歯根面う蝕とCandida, 逓信医学, 47: 433-437, 1995. – reference: 21) 中尾俊一, 他偏: 中尾俊一, 荒川浩久, 飯塚喜一, 他著: 口腔衛生学, p.101, 103-108, クインテッセンス出版, 東京, 1987. – reference: 29) Butz-Jorgensen E.: The significance of Candicta albicans in denture stomatitis, Scand. J. Dent. Res., 82: 151-190, 1974. – reference: 32) 瀧口徹, 鴨井久一, 向井美恵, 丹羽源男編: 歯科医師・歯科衛生士のための介護保険対応型歯科保健・医療ガイドブック, p.68, 永末書店, 東京, 1999. – reference: 26) 大目亨: 口内炎・舌炎, 「治療」創刊80巻記念号, 516-517, 1998. – reference: 16) Myers, D.E., Schooler N.R., Zullo T.G., Levin H.: A retrospective study of the effects of edentulism on the severity ranting of Tardivedyskinesia. J. prothet. Dent., 69: 78-81, 1993. – reference: 3) 田村文誉, 綾野理加, 水上美樹, 大塚義顕, 藤谷順子, 向井美恵: 要介護者の口腔内過敏症状に関わる要因分析, 口腔衛生会誌, 49: 794-802, 1999. – reference: 6) Johnson E.R.: Aspiration pneumonia in stroke. Arch Phys Med Rehabil, 74: 973-976, 1993. – reference: 13) 上林豊彦, 中野公, 桐田忠明, 下岡尚史, 杉村正仁: 要介護高齢者の口腔内実態調査-第1報特別養護老人ホームと老人保健施設との比較-, 老年歯学, 11: 202-209, 1997. – reference: 19) 上野正, 伊藤秀夫監修: 最新口腔外科学, p.19-20, 医歯薬出版, 東京, 1986. – reference: 5) 山根誠久: 最新データーベースを用いたVitek Systems Yeast Biochemical Card (YBC) での酵母様真菌同定, 臨床と微生物, 18: 105-111, 1991. – reference: 7) Teasell R.W.: Prevalence and recovery of aspiration poststroke; a retrospective analysis. Dysphagia, 9: 35-39, 1994. – reference: 18) 細野純, 稲垣明弘, 神尾政治, 中村厚一, 佐藤甫幸, 田村文誉, 水上美樹, 綾野理加, 向井美恵: 感覚過敏症状のある要介護高齢者への脱感作床装置の試み, 日摂食嚥下リハ会誌, 2: 88-89, 1998.(抄) – reference: 24) Gordon, DF, Gibbons R.J.: Studies of the predominant cultivable microorganisms from the human tongue. Arch Oral Biol., 11: 627-632, 1966. – reference: 10) 比嘉太, 斎藤厚: 誤嚥性肺炎の起炎菌, Geriatric Medicine, 35: 153-156, 1997. – reference: 2) 向井美恵: 老年者の摂食・嚥下機能障害とリハビリテーション, 歯界展望, 91: 309-318, 1998. – reference: 31) 北原稔, 白田チョ編, 高江洲義矩監修: 実践訪問口腔ケア, 上巻, p.4, クインテッセンス出版, 東京, 1999. – reference: 11) 斎藤厚, 河野茂: 呼吸器感染症おける口腔内細菌の意義-とくに嫌気性菌について-, Prog. Med., 9: 2805-2809, 1989. – reference: 4) Sand C., Rennie R.P.: Comparison of three commercial system for the identification of germtube negative yeast species isolated from clinical specimens. Diagn. Microbiol. Infect. Dis., 33: 223-229, 1999. – reference: 15) 増田裕治, 日高修, 森本俊文: 大脳基底核と口腔異常運動-口舌ディスキネジア-, 歯界展望, 93: 234-235, 1999. – reference: 20) 上野正, 伊藤秀夫監修: 最新口腔外科学, p.102, 医歯薬出版, 東京, 1986. – reference: 30) 野村美江子, 浅香次夫: 義歯性口内炎とCandidaをめぐって予防歯科の立場から, 逓信医学, 47: 153-157, 1995. – reference: 17) 金子芳洋監修, 金子芳洋, 向井美恵, 尾本和彦著: 食べる機能の障害, p.56-58, 医歯薬出版, 東京, 1993. – reference: 1) 才藤栄一, 藤谷順子, 植田耕一郎, 岡田澄子: 脳卒中と重度嚥下障害, 総合リハ, 22: 943-947, 1994. – reference: 14) 市川修, 大友英一: 目でみる老年疾患 (10) 口部ジスキネジア, 老化と疾患, 7: 494-498, 1994. |
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| SourceType | Publisher |
| StartPage | 14 |
| SubjectTerms | 口腔内環境 摂食・嚥下障害 経口摂食 経管栄養 |
| Title | 摂食・嚥下障害者における栄養摂取方法と口腔内環境との関連 |
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