非ホジキンリンパ腫治療後に急性単球性白血病を合併した 1 例

症例は 58 歳女性.1999 年 4 月上旬より咳,痰,労作時の息切れが出現した.胸部レントゲンにて異常影を認め,LDH, NSE 高値と肺生検所見から肺小細胞癌 (SCLC) と診断された.化学療法を施行し寛解していたが,2000 年 2 月に白血球の著明な上昇を認め,急性骨髄性白血病 (AML, FAB 分類の M5b;急性単球性白血病) と診断され AML に対する寛解導入療法が行われた.部分寛解であったが本人の希望により退院し,2003 年 4月からは通院を自己中断していた.2005 年 6 月に右乳房の腫瘤を自覚,乳房腫瘤生検の結果,非ホジキンリンパ腫 (NHL), びまん性大細胞...

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Published in日大医学雑誌 Vol. 69; no. 3; pp. 193 - 197
Main Authors 田中, 稔丈, 小林, 優人, 相澤, 信, 八田, 善弘, 竹井, 和大, 杉谷, 雅彦, 石塚, 光, 小林, 寿美子, 竹内, 仁, 三浦, 勝浩, 杉田, 馨里奈, 栗田, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大学医学会 01.06.2010
Subjects
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ISSN0029-0424
1884-0779
DOI10.4264/numa.69.193

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Summary:症例は 58 歳女性.1999 年 4 月上旬より咳,痰,労作時の息切れが出現した.胸部レントゲンにて異常影を認め,LDH, NSE 高値と肺生検所見から肺小細胞癌 (SCLC) と診断された.化学療法を施行し寛解していたが,2000 年 2 月に白血球の著明な上昇を認め,急性骨髄性白血病 (AML, FAB 分類の M5b;急性単球性白血病) と診断され AML に対する寛解導入療法が行われた.部分寛解であったが本人の希望により退院し,2003 年 4月からは通院を自己中断していた.2005 年 6 月に右乳房の腫瘤を自覚,乳房腫瘤生検の結果,非ホジキンリンパ腫 (NHL), びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫 (DLBCL) の病理診断で当科を紹介受診となった.その時に 1999 年の肺生検所見を再検討したところ,腫瘍細胞は CD20陽性,CD3 陰性であり,DLBCL であった可能性が示唆された.その後,NHL に対する化学療法を施行したが,腫瘍のコントロールが不能となり 2007 年 9 月死亡した.NHL と白血病の合併例は今までに 4 例報告されており,いずれも本例と同じ単球性白血病である.本例は NHL に合併した白血病の可能性は否定できないが,二次性AML (治療関連白血病) に合致する点も多く後者の可能性が高いと考えられる.
ISSN:0029-0424
1884-0779
DOI:10.4264/numa.69.193