肘部管症候群との鑑別を要した神経周膜腫の一例
神経周膜腫は稀な神経原性腫瘍である.尺骨神経に発生し,肘部管症候群と鑑別を要した症例を経験したので報告する.症例は,17歳男性.2年前から握力低下,環指小指の痺れを自覚,徐々に手の変形も進行し,前医を受診した.身体所見,神経伝導速度検査から肘部管症候群と診断し,神経剥離,皮下前方移行術を施行するも神経所見の回復が乏しかった.術後2年経過時,上腕骨内側上顆近位レベルで尺骨神経に索状物を触れ,神経原性腫瘍を疑い当院に紹介された. 腫大した尺骨神経を7cm切除,腓腹神経でcable graftを作成し,神経移植した.病理所見は、EMA陽性,S-100陰性の神経周膜細胞の増殖を認め,神経内神経周膜腫...
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| Published in | 日本肘関節学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 402 - 404 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本肘関節学会
2023
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1349-7324 2434-2262 |
| DOI | 10.24810/jelbow.30.2_402 |
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| Summary: | 神経周膜腫は稀な神経原性腫瘍である.尺骨神経に発生し,肘部管症候群と鑑別を要した症例を経験したので報告する.症例は,17歳男性.2年前から握力低下,環指小指の痺れを自覚,徐々に手の変形も進行し,前医を受診した.身体所見,神経伝導速度検査から肘部管症候群と診断し,神経剥離,皮下前方移行術を施行するも神経所見の回復が乏しかった.術後2年経過時,上腕骨内側上顆近位レベルで尺骨神経に索状物を触れ,神経原性腫瘍を疑い当院に紹介された. 腫大した尺骨神経を7cm切除,腓腹神経でcable graftを作成し,神経移植した.病理所見は、EMA陽性,S-100陰性の神経周膜細胞の増殖を認め,神経内神経周膜腫と診断した. 筋力は徐々に回復し,術後6年経過時点で,骨間筋の萎縮は残存するも,鷲手変形は認めず,小指は感覚鈍麻が残存するも感覚障害も回復傾向を示した.この論文は第35回日本肘関節学会で発表した. |
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| ISSN: | 1349-7324 2434-2262 |
| DOI: | 10.24810/jelbow.30.2_402 |