高齢者における歩行時の足底荷重と荷重位での足関節可動性との関連性
【はじめに、目的】加齢は筋力低下や関節可動域制限など多くの身体機能の低下を引き起こすと言われている。特に、足関節背屈可動性の低下は転倒の危険因子のひとつとされる。また、歩行中の足関節運動範囲が狭いことで足底への負荷が増加することが報告されている。本研究は体力測定会の環境で簡便に利用可能な荷重位で計測する方法を用い足関節可動性を評価し、地域在住高齢者における歩行時の足底荷重との関連性を明らかにすることを目的とした。【方法】福島県南相馬市の体力測定会に参加した高齢者98名 (男性16名、女性82名)を対象とした。荷重位での足関節可動性は、底屈で は片脚で踵挙上できる高さ (cm/身長)、 背屈では...
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Published in | 日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 p. 101 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本予防理学療法学会
31.03.2025
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ISSN | 2758-7983 |
DOI | 10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_101 |
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Summary: | 【はじめに、目的】加齢は筋力低下や関節可動域制限など多くの身体機能の低下を引き起こすと言われている。特に、足関節背屈可動性の低下は転倒の危険因子のひとつとされる。また、歩行中の足関節運動範囲が狭いことで足底への負荷が増加することが報告されている。本研究は体力測定会の環境で簡便に利用可能な荷重位で計測する方法を用い足関節可動性を評価し、地域在住高齢者における歩行時の足底荷重との関連性を明らかにすることを目的とした。【方法】福島県南相馬市の体力測定会に参加した高齢者98名 (男性16名、女性82名)を対象とした。荷重位での足関節可動性は、底屈で は片脚で踵挙上できる高さ (cm/身長)、 背屈では壁に片側膝を着けた状態で同側の足尖を壁から最大限離せる距離 (cm)を測定した。足底荷重の測定は、インソール型荷重計loadsol® (Novel 社製)を挿入し最大速度での10m歩行テストを実施し、データを収集した。荷重パラメータは、左下肢の前・中・後足部の3領域の積分値 (FTI)と平均ピーク値 (Pf)を体重で正規化し算出した。統計解析として底屈・背屈可動性と荷重とのスピアマンの順位相関係数rを算出した。その後、底屈・背屈可動性を独立変数、歩行速度、年齢、身長、体重、下腿長を調整変数、有意な相関が認められた荷重パラメータを従属変数とする重回帰分析を行った。有意水準は5%とした。【結果】背屈可動性は、中足部のFTI (r=-0.300)とPf (r=-0.213)、後足部 のFTI (r=0.264)と有意な相関を示した (p<0.05)。底屈可動性は、前足部のPf (r=0.256)、中足部のFTI (r=-0.457)とPf (r=-0.235)、後足部のFTI (r=0.277)とPf (r=0.456)と有意な相関を示した (p<0.05)。重回帰分析の結果、底屈可動性は、中足部のPf (β=-0.415、p<0.001)と中足部のFTI (β=-0.294、p=0.003)に有意に影響していることが認められた。【考察】底屈可動性の低下が、歩行時の中足部荷重量増加に影響を及ぼすことが明らかとなった。本研究で用いた底屈可動性は荷重位での自動運動を評価しているため、立脚下肢の安定性のコントロールに必要な底屈筋力の要素を含むと考えられる。つまり荷重位での底屈可動性と歩行中の中足部の荷重量との間の負の関連性は、アンクルロッカーの制御不足を表していると示唆される。したがって、膝折れを制御し、転倒を予防するためには、底屈筋力と可動域の維持、向上が重要であると考えられる。【倫理的配慮】本研究は、福島県立医科大学倫理審査委員会にて承認された (承認番号2022-123)参加者には対面でのオプトアウト手続きを行い、データ利用に同意の得られた者を対象とした。 |
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Bibliography: | P - 29 |
ISSN: | 2758-7983 |
DOI: | 10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_101 |